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ちょいちょい書くかもしれない日記(もくようび)
いつからか、木曜日がとても憂鬱だった。
とても小さな診療所を営んでいた父が、木曜を休診日にしていたからだ。
仕事がある日は、父は診療所を閉めてすぐ帰宅することはなかった。
「運転をするには疲れ過ぎているから、寝て帰る」と言い、母が就寝してからこそこそと帰ってきていたようだった。
つまり、母から逃げていたわけだ。
そんなわけで、木曜の夜、しばらくぶりに家族3人が夕食のテーブルに揃うと、母はたいてい家族への、主に父への不満と要求をとうとうとまくしたてた。
それをのらくらと受け流していた父も次第に苛立ち始め、何とか母の気を逸らそうとしていた私も万策尽きて、せっかく心をこめて作った食事が、とても美味しく食べられる雰囲気でなくなってしまったことに怒り出す。
結局、3人ともが声を荒らげ、母がごうごうと泣き始め、せっかくの夕食は途中で無惨に忘れられる。
そんなヘヴィな夜になることがわかっていたので、本当に嫌だった。
ごくたまに、どうにか無事に切り抜けられた夜は、仕事場に戻ってきても、しばらく机に突っ伏してしまうくらい疲れ果てていた。
今は、なんて穏やかな木曜日なんだろう、と思う。
やることは山積みだというのに、体調が頑張ることを許してくれないチグハグな状態にムキーッとなっても、腹を立てる相手は、ウイルスと自分自身だ。
誰かに対して刺々しい気持ちにならずにいられるというのは、それだけでもう素晴らしい。
木曜日はもう、家族の修羅場デーではない。ただの平日だ。
猫を撫でながら、それを静かに再確認している。
しかしまあ、身体のほうはそう平穏ではなく、昨夜から呼吸器まわりのアレルギー症状が炸裂している。
起き抜けにもはや慣れっこになった軽いめまいもあったので、かかりつけの駅前の耳鼻科に行った。
発熱野戦病院みたいな時期はようやく過ぎたらしく、おそらくは寒さも手伝って、クリニックはとても空いていた。
出掛ける予定があるので、お守り代わりのめまいの薬2日分と、アレルギー薬をいつもより少し強いものに切り替えて処方してもらった。
門前薬局の混雑も、今日はまあまあ耐えられる範囲だ。
2フロア分の診療所の処方を一手に引き受けているのだから、多少の混雑は仕方がない。
早く効いてほしいので、帰ってすぐパンを食べ、薬を飲んだ。
猛烈な鼻のムズムズと咳と、あと謎の耳孔の痒みは、ほどなく治まってきた。
さすが! 偉いぞお薬。
しかしお前の意識とトレードオフだよと言いたげに、物凄い眠気が来た。
ヤバい。これは出掛けるときは飲めないやつ。絶対に。
せっかくアレルギー症状がおさまったのに、今度は睡魔に撃墜されてしまう流れだ。ぐぬぬ。
鼻づまりがあると、料理をするモチベーションが沈んだままだ。
買ってきた中華粥(蒸し鶏のっけ)だけで済ませるか、何かちょちょっと副菜を作るか。
高かったから見送った菜花、季節のものだから買ってきてもよかったな。
茹でて、カラシちょっぴりの白味噌ごろもで和えたりしたら美味しかっただろう。
そう思いながら、お粥を食べている最中に、薬の睡魔に沈んだ。
新しいアレルギー薬は、外出の予定がない日に試すべきだな。
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