ちょいちょい書くかもしれない日記(バターチキン)
父の死後、既に処分した物件の火災保険が、まだ生きていたことが発覚した。
更新のお知らせが来ないと気づけない代物がちょいちょいまだあるのだ。
母が健在なら、あれとこれとこれと……とパキッと教えてくれたと思うのだが、そんな情報は軽やかに脱ぎ捨てて久しい認知症ライフである。
頼りない私が、ちまちまと頑張るより他がない。
勿論、更新は取りやめてもらい、物件の売却日から逆算して多少は払い戻しがあるということで、書類のコピーが必要になった。
他の用事と共に済ませるべく山を下りたが、暑い。ハチャメチャに暑い。
用事とついでの買い物を済ませ、いい時間だったので、いつものネパールカレーの店に入ったら、開店直後すぎてエアコンがまだまったく効いていなかった。
あつあつの店の中で、スパイスたっぷりのカレーを食べるのはなかなかの苦行である。
美味しいとつらいが同時進行する数十分だった。
でも、病からの回復期には、何故かいつもあそこのカレーが食べたくなるのだ。身体がスパイスを欲しているのだと思う。仕方がない。
帰宅して、銀行巡りのための準備をしていたら、必要そうだと思い取っておいた父の荷物の中にも、もう捨てていいものがちらほら出てきたな……と気づき、色々とゴミ袋に放り込んだ。
しかし、処分しづらいものもある。
医師免許と、学位記と、長年校医を務めた(8校もあった)功績を称えて地元教育委員会から貰った賞状だ。
父にとってはいずれも誉れであっただろう。持っていても仕方がないが、もうしばらく置いておこうと思う。
はんこも何となく捨てがたい。
父の実印と共に、まさかの祖父の蔵書印(なんだろうと思う。四角いやつ)まで出てきた。
しかも印材が、いい感じのルチルクォーツである。
祖父も父も財テクが下手なことこの上なかったので、まったく金運を招いてくれる気はしないが、せっかくここまで生き延びたのだ。
もうしばらく一緒にいようと思う。
こうやって、捨てられないものが増えていくのだ。ああ。