見出し画像

ちょいちょい書くかもしれない日記(三寒四温)


暑いほど暖かくなったり、震えるほど寒くなったり。
今の時期、出かけるときに上着が必要か否か問題がなかなかアツい。
我が家は山奥にあるため、街中より数度は気温が低くて、それがまた判断を難しくしている。
念のためで上着を持って行けばいいとはいえ、必要がなかったときに邪魔な荷物と化すのが凄く嫌なのだ。
かといって、忙しいときに風邪を引きたくはない。
遠出のときは、地味に真剣に迷う。
毎日がギャンブルだ。
今日は上着を着て家を出て、駐車場でドアを開けた瞬間、脱いで車内に投げ込んできた。

母が暮らす施設は感染症対策がしっかりしていて、冬の間は面会を歓迎されない気配がわりとあからさまにあった。
むしろ、そのくらいのほうが、家族としては安心だ。
ようやくそれが緩和された感があったので、先日、両親と大学時代からつきあいがあったご夫婦に連絡した。
ずっと母に会いたいと言ってくださっていたので、そろそろ……と打診したら、昨日、さっそくおふたり揃って訪ねてくださったらしい。
顔を合わせたら、すぐに昔に心が飛んで、当時のように大盛り上がりで語り合ったと報告があった。
母は声を上げて笑い、冗談すら口にしたそうな。
調子がよかったのと、見栄を張ったのと、本当に楽しかったのの合わせ技なんだろう。
嬉しくて、ありがたくて、そして少しだけ切なかった。
今の母を無邪気な笑顔にできるのは、まだ独身の、自由に身軽に生きていた頃の楽しい記憶なのだな、と痛感したからだ。
先方には、父が生きているうちに会ってもらえなかった。
あれよあれよという間に状態が悪化した上に、父自身が、誰にも会いたくないと言ったからでもある。
だから、せめて母とはそんな風に楽しく過ごしてもらえてよかった。
また訪ねてやってくださいとお願いした。
「勿論行くわよ。また来るからねって、指切りしたんだから!」
80歳どうしの指切りげんまんを想像して、ちょっとだけ泣いた。
変わらず母の友達でいてくれて、母を明るい気持ちにさせてくれて、本当にありがたい。
母の性格上、あとで、「あの人たちは賑やかで、楽しいけれど疲れるわ」とか絶対言ってるんだけど、でもきっと楽しかったと思う。
誰かと笑いあってヘトヘトになるのは、幸せなことだ。

それにしても私は、母になんにもしてあげられていないな。
楽しい話の在庫を引っ張り出すには、ここ数年がしんどすぎたのかもしれない。
いつか昔みたいに、なんの警戒心も恐れも持たずに母に会えるといいんだけど。

いいなと思ったら応援しよう!

椹野道流
こんなご時世なのでお気遣いなく、気楽に楽しんでいってください。でも、もしいただけてしまった場合は、猫と私のおやつが増えます。