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ちょいちょい書くかもしれない日記(ミスを誘う女)
もしかしたら、私から相手の仕事を妨害する電波か何かが出ているのだろうか。
先日、母の免許経歴証明書の住所変更手続きを所轄署に記載ミスされるという珍しい経験をしたわけだが、昨夜、帰宅して郵便物をチェックしていたら、今度は郵便局から、「先日のお母様の住所変更の件、手続きにこちらのミスがありましてもう一度ご来局ください」という速達が届いていた。
まじか。
両方とも、確かに私が行かないとどうしようもないんだろうなと思いつつも、ミスされたほうが割かなくてよかったはずの時間を割き、先方へ出向くことが当然みたいなスタンスはちょっとないんじゃないかなあ、と、イラッと来る。
ただ、手紙の文面は丁寧ながら簡潔で、文字も大きく美しく、読む人のことを十分に配慮したお手紙だった。
しかも精いっぱいのごめんねの気持ちが同封されたポケットティッシュに宿っている気がしたので、すぐに「しょうがないな~」という気持ちにもなった。
今日、母の再びの病院付き添いの待ち時間を利用して、郵便局を再訪した。
用向きを告げ、いただいたお手紙を渡したら、奥にいた数人がすぐさま「あー!」と声を上げた。
局長さんが飛び出してきて、「わざわざご足労いただき申し訳ありませんでした!」とでっかい声で言ってくださった。
ミスの情報がめちゃくちゃ共有されている。
健やかな職場だ。
前回の担当者は今日はいなかったけれど、「とてもよいお手紙でした」と伝言をお願いした。
今日、手続きの訂正をしてくれた人は、前回の人より年配で、その分知識量も多かったようだ。
母が通帳を紛失した口座について、住所変更手続き以前に必要になる通帳再発行手続きを本人が行うことが難しければ、今できることがひとつあります。それで少なくとも連絡はつくようになるので、当面は大丈夫です、というアドバイスをくれた。
そして帰り際、キッチンペーパーもちょこっとくれた。
とにかく紙をくれるところなのだな……と可笑しかったけれど、実用品はありがたいものだ。無駄にならない。
用事を済ませて、マクドナルドに寄った。
11時過ぎだと、まだ空いている。
今日から販売されているグラコロを買った。
凄く好きだというわけではないのだが、何となく1年に1度は食べておきたい。おせちのようなものである。
母に付き添ってくださっている方にも買っていこうかと連絡してみたら、お弁当があるから大丈夫ですとのこと。
では、早く戻ってお昼休憩をとっていただかねば。
高齢者あるあるだが、母は痛覚がだいぶ鈍くなっているようで、問診が難しかったらしい。
ご本人の主訴がどうにもハッキリしませんのでね、と前置きして、主治医が説明をしてくれた。
腸閉塞ではなさそうだけれど、腸の動きはあまりよろしくない。
それに、自力での自然な排便についてはこの先難しくなる一方であろう、という話を聞いた。
それもまた高齢者あるあるなのだが。
特に不思議はない。
食事量がまず減った。
運動量も施設のフロアからほぼ出ない生活、さらに車いす生活になってガタッと落ちた。
それと加齢とのダブルパンチで筋肉量が減り、筋力も著しく落ちた。
全身の代謝も落ち、腸の動きがゆっくりになって、大腸に便が以前より長く滞留するので、その分どんどん水が抜かれて固い便になっていく。
ふんばる・きばる力が落ちているのに、固い便を押し出せるはずがない。
大学で習った悪循環が、まさに自分の親に起きている。
勿論、便秘薬は常用しているし、浣腸も施設の方が適宜使ってくれているものの、それでは追いつかないらしい。
「水分も繊維質も、十分に気をつけてとっていただいているのですけど、こればっかりはどうしてもねえ……」と、施設のナースさんも困り顔をしていた。
そういえば新型コロナに倒れる前にも、母は幾度も「毎朝お通じがあるのに今朝はない! 気持ちが悪い!」とたった1日の便秘で壮絶なパニックになり、大変だったな……と思いだして、酷くドンヨリした気持ちになった。
深夜に「イチジク浣腸を買ってきて、さもないと死んでしまう!」と絶叫されて、夜の街を彷徨った記憶まで甦ってしまった。
しんど。これもトラウマのフラッシュバックと呼んでいいのだろうか。
メンタルが異様にしんどいぞ。
「便秘薬ではなく、今回は下剤で対処してみましょう。それでダメなら次のステップに」ということで本日は解散。
下剤を使うと施設の方のお手間が確実に増えてしまうので、つくづく申し訳ないのだが、こればかりはお願いするしかない。
「そんなん、気持ちよく出るならそれがいちばんですから」と言ってくださる介護士さんの笑顔が眩しかった。
帰宅したら、私がお世話になっている税理士さんから電話。
ややこしそうな書類を早めに送ったので、受領の連絡だった。
今回の父の相続のこと、そして母の代理人として不動産を処分したことなどの話をする。
母の代理で得たお金は、すべて専用の通帳に入れ、母のことだけに使えるようにしています、と言ったら、お使いが上手に出来た子供みたいに褒められた。えへん。
書類にポストイットで説明を書き加えておいたのだが、それもわかりやすいですね、と褒められた。えへんえへん。いやまあ、そこは作家だからね……。
そのあと、相続の手続きも終わったことだし、父関係の通帳や書類を袋に詰めて屋根裏に上げておくか……と整理をしていたら、およそ使わなかった書類の間から、台紙から外しもしていない、そしてまだバリバリに生きているクレジットカードが出てきて、ギニャーッとなった。
油断も隙もねえな!
母の家族カードまで貼り付いとるやないかい。解約まっしぐらである。
手続きをすべく記載された番号に電話したら、本人が死んだときの手続きはネットでのみ受け付けるとのこと。
ショートメッセージでぴろんとアドレスが送られてきた。
私はむしろ助かるけれど、スマホを所持していない人を完全に無視したシステムしか存在せんのやなと痛感した。
「お金のことは厳密にしないと」と言うなら、いかなる顧客も普通に手続きできる環境を維持しておくべきではないのかなあ……。
スマホ所持は国民の義務ではないのだからして。
手続き自体はとてもシンプルだった。
そして、今日も今日とて日が暮れる……のである。
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