【柔整・あはき】完全自費でも広告のガイドラインは適用されるのか?

広告の問題はなかなか範囲が広く、ガイドライン案もQ&Aを出してもらわなければ解釈が分かれそうなものもあります。タイトルで誤解を与えそうですが、広告のガイドラインは全ての施術所・施術者は対象です。

「〇〇限定」にしたい

過去に勤めていた団体では、施術者の質問にこのように答えてきた経緯があります。
Q.「女性限定」にしたい
→A.療養費を取り扱う以上、すべての患者を受け入れることが条件になることから、女性しか受け入れないという表現はできません。女性のみ受けられるメニューがあること自体は問題ないですが、広告はできません。
Q.「予約限定」と書きたい
→A.療養費を取り扱う以上、すべての患者を受け入れることが条件になることから、予約した患者のみ受け入れるという表現はできません。実態としてそうなっていたとしても、急患を受け入れている旨を示すために「予約優先」と書いてください。

共通するのは患者を「限定」したいということです。
公的に文章化されたものを見た記憶はないのですが、勤めていた団体では、療養費を取り扱うのであれば基本的に誰でも受け入れる態勢でなければならない、と聞かされ続けてきたので、そういうものだと考えていました。

これは療養費を取り扱う施術所のルールではなく、国民皆保険制度の方ではないかと思っています。乱暴な書き方ですが、保険証を持っていればいつでも誰でも医療サービスが受けられるというのが国民皆保険制度。「療養費支給申請できる接骨院なのに、自分はこの接骨院で施術を受けられないのは何事か!」みたいなことなのでしょう。

名称には不可なのに…?

広告のガイドライン案を見てみると、名称の部分には事細かに「可」「不可」が書かれています。しかし施術所の外観やチラシの文言の「可」「不可」は書かれていません。
なぜなら柔整師法、あはき師法の広告の制限に書かれていること以外は広告できない、というのが基本にあるからです。では先ほどのQにあった「予約限定」はどうなるでしょうか。

予約を受け付けていること自体は広告できます。「予約限定」は予約を受け付けている表現なので広告できるといえます。ただし国民皆保険制度のうえでは「予約限定」は、療養費を扱う施術所では広告できません。
一方、広告のガイドライン案では患者を限定する施術所名称は不可とされており、例えば「〇〇予約限定接骨院」という施術所名称は不可です。ただし自費のみの施術所であれば「予約限定」を広告すること自体は可能ということになります。

ここで疑問が浮かびます。広告ガイドライン案の名称の部分で「患者を限定する名称は不可」とされているのはなぜなのでしょうか。仮に国民皆保険制度を前提に不可なのであれば、完全自費の施術所にとっては「患者を限定する名称が不可」ということに矛盾がでてきます。

対象は「何人も」

とはいえ、広告のガイドライン案の対象者には療養費の取り扱いについては関係なく、施術所、施術者どころか「何人」も対象となっています。ですから全ての施術所は患者を限定する名称は付けてはいけません。

例で出した「女性限定」はガイドラインではなく法律の解釈の問題ですので、名称どころかどうやっても広告できません。「予約限定」は法律上問題なさそうですので、完全自費なら名称は無理でも広告できそうです。
患者を限定する方法論によって広告できるできないが出てくるのでややこしさがあります。が、ここまでで気が付いた方もいらっしゃるかもしれませんが、「女性限定」と「予約限定」が広告できるかできないかは、広告ガイドラインの発出にかかわらず、今現在もルールは同じです。

では今実際に看板を掲げている「〇〇レディース整骨院」は何?という疑問が出るのは当然です。柔整・あはきの施術所をオープンするには開設届を保健所に提出しなければなりません。療養費を取り扱うか完全自費かは関係ありません。
現状でも実態としては保健所がOKなのかNGなのかが全てです。しかも地域差があるのは他府県にお知り合いのいる施術者なら周知の事実でしょう。○○県〇〇市では「整体整骨院」でも受理された、という話は今でも耳にします。

地域差をなくすための広告ガイドライン

だからこその広告ガイドラインであり、これが発出されることによって地域差をなくすことができるのです。ですから、広告のガイドラインが発出されたら厳しくなるということではありません。
QRコードの掲載ができるようになるなど、実態に合わせたものもあります。なにより整骨院は引き続き使えます。まもなく発出されるでしょうから、ガイドライン案に沿って準備をしておくのがよいでしょう。

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