満腹を抱えた夏至の午後
少し前から、スマホの中で「じゃがいものガレット」という料理が保存されていた。
よく憶えていないのだけれども、「大根もち」のレシピを検索した際にそいつが出てきたのだったと思う。
・大根もち
・じゃがいものガレット
なんかオシャレな気がする。
で、この間、作ってみた!
じゃがいも2個、チーズ、ライスペーパー、片栗粉。
それでよかったんだよ。
が、じゃがいも千切りのあと、
冷蔵庫の中でふて寝している大根が言ったのだ。
「オレはいらんのか?」
えええええーっと。今日は。うん。
「オレも、もちになったやろー。じゃがいもだけでほんとに固まるんか」
でんぷんが固まるそうなんだけど。
「それやったら、ええんやけどな」
寝返りを打ちながら大根がつぶやく。
「じゃがいもはええやつやし、いっぺん仕事してみたかったんやわ」
そうか。
「かたちは違うけど、ごろんとしてるところはあいつも仲間やしな」
ふん。
大根を手に取った私は、大根の千切りを始めた。
じゃがいも2個と大根5cm分の千切り、チーズ。
そら、あんた、一人分には多いって。
50代の女が一人、じゃがいもと大根のガレット、いや、もちを食べる。
誰が何といおうが、あれはガレットなんかじゃない。
もちだ。
夏至の15時。
いくら日が長くても、夜眠るまでお腹は空かなかった。