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クラウドファンディング挑戦記。残り1秒のブザービーター。3月27日22時59分59秒。


これは株式会社TABIPPOが2020年にクラウドファンディングに挑戦した裏側を書いた記事だ。これからクラウドファンディングをやろうと考えている人の参考になれば嬉しい。赤裸々にその時の気持を書いていこうと思う。



2020年。3月27日22時59分59秒。

2ヶ月にわたって挑戦をしていたクラウドファンディングをブザービーターで達成し、歓喜でぱあっと花咲いた社内。ハイタッチをして盛り上がるメンバー一同。それは誰もが予想しない『劇的』な終わり方だった。

スラムダンクの山王戦の終盤、静寂な中で時間だけが進んでいき、最後に花道がシュートを決めて終わるあの瞬間に近いようなものだったように思う。そして、今と同じメンバーであの興奮を味わうことがないと分かっているから、同時に色々な想いがこみ上げてくる。

残り1秒で800万円になった時のスクショ。友人のもの。


この日をちゃんと会社の歴史に刻んであげることが僕の役割のような気がする。

・2020年3月27日。22:59。クラウドファンディングの終了1秒前で達成。

もちろん美化をしすぎることのないようにできるだけありのままに。そして、これを見返す未来はもっといいものであることを願って。

「2020年の3月27日、凄かったよね」

「ああ、クラウドファンディングの最終日?」

「そうそう。最後の1秒で達成したやつ」

「あったねえ。でも、その後の〜〜の方がすごくない?」

「あ、たしかにねえ!」

...

...

***

団体を設立して10年を迎える。株式会社になってからは6年が経つ。こうやって数字だけをみると、わりと長いのかもしれない。そして、この記事を書いている僕は、社長でも創業メンバーではないけれど、設立の半年後から関わっているので、歴史でいうとまあまあ長い。そんな僕の立場から書こうと思う。

始まりの日は、1年近く前までさかのぼる。


プロジェクトの構想開始は2019年の年始。今から大体1年近く前。会社には痛みがともなっていた。それは、どちらかというと成長痛のような健全なものだった。

創業当初から描く、ビジョンやミッション自体は変わらない。平たく言うと「旅を通じて、世の中を良くしようぜ」というもの。ただ、見えてきた世の中への解像度はあがったし出来ることも増えた。そして、やりたいことが増えたのだけども、それを実現するには今の事業やブランドイメージを変えたほうがいいよねという状況だった。

「ブランドのイメージを変えないといけないね」

そして、始まった会社のリブランディング。10年間積み上げてきたものを変える一大プロジェクトだ。ロゴが変わる。サイトのデザインが変わる。メディアの記事の内容が変わる。社内の体制が変わる。教育の事業が増える。コーポレートアイデンティティが変わる。と、多くのものががらりと変わる。もちろん、お金もかかる。資金をどうしようかと考えたときに出てきた1つの選択肢として、クラウドファンディングがあがった。

クラウドファンディングの大きな特徴は、お金を集めることもあるけれど、たくさんの人を巻き込めることにある。たくさんの人から参加への意志を表明してもらえる場であるのだ。

会社の価値観/バリューを「ビジョンの共創」としているくらい、色々な人を巻き込んできてここまできた会社だ。だったら、このクラウドファンディングがぴったりな手段なのではないか。そうしてプロジェクトが始まった。

直ぐに立ちはだかる、壁。


クラウドファンディングの多くは【作るもの】が目に見えてわかる。新しく宿をやります!とか、新しくサウナ作ります!とか。今回、僕らは【会社が新しくなります!】というかなり抽象的なものだった。

クラウドファンディングの大手会社、Makuake、キャンプファイヤー、Readyforの3社に相談をしたのだけれども、似た事例のものはあまりないですね、と言われる。そして、難しそうですね、と。

色々な人からの意見をまとめると「何がどう変わるのか?」を具体的にわかりやすくすること。そして応援したくなるようなメッセージがあること。これが何よりも大切です、ということだった。社内で、徹底的にこの議論をする日々が続いた。

開幕。そして、長い日々を。

リターンの精査をして、1月の末に幕を開けたクラウドファンディング。

最初の1週間で、ある程度の目標を達成して、みんなで乾杯できたらなんて考えていた。いやあ、これはお気楽の極み。獺祭の一升瓶を買ったのだけれど最終日まで空けることはなかった。

クラウドファンディングの支援の8割は個人の繋がりからによるものだと言われている。なので、もちろんメンバーが時間をとって声掛けをしない限り達成はできない。もちろん、自分1人だけで出来るものでもない。全員を巻き込んでのプロジェクトになるのだ。分かっていたけれど、全員が同じくらいの熱量を持って、最優先でやることは難しい。自分の目の前の事業があったり、社歴が違ったり。みんなの意識が揃ったのは、たぶん終了の1週間くらい前だったように思う。長い長い時間がかかった。

・たくさんのリターンを作った
・初動25%
・支援の認定書を先手でおくった
・毎週、Readyforの担当者とMTGをした
・1ヶ月近く動きがない日々
・計画を練り直した
・社内のLINEグループを作りなすも動かず
・ランチをしながら声掛け開始
・どん丸ランチ
・支援がある度に盛り上がる
・リターンの追加
・Instagramのライブを行った
・SNSの更新を息を吸うようにやった
・カウントダウン開始
・社長が倒れた
・メンバー復活
・LAの友達からの大口応援
・先輩経営者からの大口応援
・最後の2日の怒涛の応援

前日から最終日の緊張感...


前日に第一ゴールの目標を達成をした。ゴールテープは、このタイミングを虎視眈々と狙っていた20歳のくつざわ氏。僕らはネクストゴールを設定し、最終日を迎える。

朝からずっといいペースで支援が入り、夜まで続く。止まらないSlackの通知。そして、夜7時。いったん夜ご飯休憩に入り、ラストスパート。

残り1時間であと数%。みんな静かにメッセージを送り続ける。残り15分。達成が怪しくなる。残り10分。支援の通知がとまる。最後の頼みの綱から支援あるも届かず。社長、自らのクレジットカードを取り出す混乱。ただ、登録に手こずり支援できず。

残り3分。過去スタッフからの上乗せ支援で社内歓喜。残り1分を切り、秒単位のカウントダウンが始まる。

リロード。
メッセージ。

リロード。
メッセージ。

リロード。
残り1秒...。

滑り込み支援!!!!
0秒。

終了。
そして、ぎりぎりの達成。

僕らはハイタッチでこのクラウドファンディングの幕を閉じた。

クラウドファンディングを終えておもうこと。


クラウドファンディングは「今」を表す。今というのは、過去に積みあげてきたものだ。得てきたもの。失ってきたもの。その全ての合計が今なのだ。

この期間を通じて色々な人に連絡をした。自分がやりたい!という想いに対して反対をする人はあまりいないくて、想像以上にいい反応があったのは印象的だった。もちろん、反応がなくて落ち込んだこともある。中には、描くビジョンの弱さや不明確さを丁寧に連絡を下さった方もいらっしゃった。そして、株式会社がクラウドファンディングをする意義や理由について聞かれたこともあった。でも、それは本気で向き合ってくれたからこその感想であり、意見であるのですごく嬉しい。


そして、今回のプロジェクトを通じての大きな学びは「たくさんの人に支えられているからこそ、楽しく生きることができる」ということだ。別にすごい気付きでもないし、なんら新しい気づきではないかもしれない。ただ1人で生きるよりも、誰かと一緒にいた方が楽しいし、誰かを応援し、応援される方が楽しいのだ。そんな実感を出来たことは大きい。

あともう一ついいことがあった。このクラウドファンディングを経て、改めて会社のことや自分がやりたいことについて向き合えたことだ。

会社の存在意義について。
僕らはどこに向かっていくんだろうと。
そして、僕らはどう世の中を良くしていきたいんだろう。

色々な人に伝えながら「どうなっていきたいのか?」ということについて、よく考えた期間になった。

翌日は驚くほど静かでよく晴れていた。前日までせわしなく動いていたSlackのチャンネルがピタッと止まった。まるで1つの世界が急に終わってしまったかのように。

終わったこともあるし、これから始まることもある。世の中はいま大変な状況だ。とくに旅行の業界は壊滅的だ。旅は平和へのパスポートだなんて言うけれども、旅は平和じゃないと出来ない。今こそ、旅で培ってきた経験を生かして、世の中に貢献すべきときだ。


最後に。

関わって下さった全ての人に。

応援、本当に本当にありがとうございました!
誰1人の支援も欠けては目標達成を出来なかったことに感謝して。

そしてこれからもよろしくお願い致します!

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追記:
他のメンバーも記事を書いてるので、ぜひよんでください!


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みっちー/あたらしい旅の学校「POOLO(ポーロ)」主催
ありがとうございます!また新しい旅に出て、新しく感じたことや学びを言葉にできればと思います!あるいは美味しいお酒を買わせて頂きます。そして、楽しい日常をみなさんにお届けできれば。

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