上司・部下の円滑なコミュニケーション術!ズレた話をしない・させないテクニック「DIKW」
1. はじめに:ジェネレーションギャップとコミュニケーションの課題
あなたは、会社や学校で「新人が言うことをきかない」「部長が何を言いたいのかわからない」などと感じたことはありませんか?
大昔から「今どきの若い者は」と嘆く声が聞かれるように、いつの時代もジェネレーションギャップは存在しています。
特に、幅広い世代間でコミュニケーションが必要な会社内では、ジェネレーションギャップが原因で問題が大きくなりがちです。
各世代やコミュニティには暗黙の了解が存在し、前提は異なります。
さらに、日本語は主語を省略することが多く、前提条件が違うと、省略された主語を頭の中で補う際に誤解が生じやすいのです。
同じ会社内でも部署が違えば使っている言葉や前提が違うため、同世代であっても戸惑うことがあると思います。
そこで、今回はこれらの問題を解決するための会社内や面接で使えるコミュニケーションテクニックをご紹介します。
2. 基本の確認: 指示をズレなく受け取るための4つのポイント
テクニックを説明する前に、ビジネスの基本として「曖昧な部分はすぐに確認する」ことが大切です。
指示された仕事や質問された内容が何についてなのか曖昧なまま取り掛かってしまうと、ズレた結果になりやすいので、以下のことを必ず確認しましょう。
直接依頼された場合は1の「誰が」を省略できますが、伝聞で「部長がこれやっておいてって言ってたよ」のような場合は、すぐに確認したほうがよいです。
例えば「部長、○○さんから聞いたのですが」といったアプローチは、その後のずれを防ぐために有効です。
3. 依頼者タイプ別アプローチ
タイプ1:「一(いち)言ったら十わかってほしい」タイプ
このタイプでは、相手(あなた)に対して期待感があるため細かな指示は出さずにうまくやってほしいと思っています。ですので、最低限必要なことだけ聞いて、あとは期待に応えるためにどこまでできるかがカギになります。
タイプ2:「指示されたことだけやってほしい」タイプ
このタイプでは、指示通りに仕事をしてほしい。つまり、余計なことはしてほしくないと思っているので、指示についていろいろと質問して内容を明確にしてあげたほうがうまくいきます。
4. DIKWの活用: ズレを防ぐフレームワーク
さて、どちらのパターンでも使えるテクニックが「DIKW」です。
DIKWとは、データを価値に変えるプロセスを示すフレームワークで、データ(Data)、情報(Information)、知識(Knowledge)、智恵(Wisdom)の4段階に分かれるフレームワークです。
この考え方を使うことで、作業を進める際に求められているアウトプットを見極め、ズレを防ぐことができます。
これをどう使うのかというと、、
まず、依頼された内容が、データ集め(D)なのか、情報収集(I)なのか、情報を分析した知識(K)なのか、知識を基に適切な判断や意思決定を行う知恵(W)なのかを見極めます。
求められているアウトプットが何なのか、ズレの無いように、最終的にどんな使われ方をするのか考えて仕事に取り掛かりましょう。
そして、次が大事で、依頼内容の一つ上のアウトプットも用意しておくということです。
タイプ1の人からの依頼では特に重要で、期待感にこたえるために、依頼された資料のほかに自分なりにまとめた(期待をよい方で超える)ものを付けておきましょう。
もし、言われたことだけをこなしていると、「指示しないとそれ以上の動きをしない指示待ち人間」だと思われ、そのうち期待されなくなってしまいます。
期待されなくなると、タイプ2のような指示の仕方に変わっていきます。
次に、タイプ2の人からの依頼では、その人が期待していない場合と自分で最後まとめたい場合の2パターンがあり、どちらにしてもDIKWが使えます。
まずは、依頼されたタスクを完了します。
さらにそれをもとに次の段階の分析に入ります。
そして、期限までに自分なりにまとめたものと一緒に提出するのですが、提出する際には「依頼の資料をお持ちしました(データで送りました)。わたしの方で分析した資料も添付しましたので、もしよかったら使ってください」とあくまでオマケの感じで提出します。
オマケならそんなに期待感を上げないので、使えたら使うし、使えなくても誠意は伝わります。
もし、このオマケが優秀なら、次からは一つ上の段階の依頼を受けるでしょう。
5. 実践例:DIKWで解決したケーススタディ
実際にDIKWを使って問題を解決した例をご紹介します。
私がサラリーマンだった時にこんな例がありました。
私の上司(部長)が中途採用した経験者の女性(Aさん)が同じ部署に配属されました。
部長は自分で採用したこともあり、Aさんに直接仕事の依頼をしていました。
しかし、1か月も経たずに中間管理職の私に部長からもAさんからも苦情が届くようになったのです。
聞けば、部長は「あいつは使えない。採用しなければよかった。すべて指示しないと何もしない。経験者を採用した意味がない」というのです。
そんなことはないと思って、Aさんに聞いてみると、「部長の言っていることがよくわからない。言った通りのことをしても怒られてしまう。言ってることがころころ変わる」というのです。
そこで、最低限の確認とDIKWを活用して仕事してみたらとアドバイスしてみました。
すると、今までの言い争いは少なくなり、円滑に業務が進むようになったのです。
この場合、部長側が過度の期待をしてしまっていたのが良くないのですが、業務範囲を都度確認することによって無限地獄からは逃れられたようです。
上司は期待してしまうと、自分がやるべき仕事もどんどん部下に押し付けてしまうことがあるので、業務範囲を確定させたうえで、それよりも少しだけプラスしてあげると負担が少なく仕事をこなすことができます。
Aさんは期待され過ぎて苦しかったと言っていましたが、適度に期待感を超えてあげるを繰り返したらうまくいくようになったようです。
6. まとめ:一歩先の気配りでスムーズな業務送行を
このように、相手から受けた依頼に対してその言葉だけではなく、相手の状況や業務の流れ、資料の最終着地点を踏まえて、一歩先の気配りができると組織の中でもスムーズに業務が遂行でき、その過程で齟齬や誤解を避けることができるのでコミュニケーション力も高まりますので、ぜひ試してみてください。
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