九九の暗唱が、かけ算の理解を妨げている!?
■九九を覚えなくても東大へ入れる!?
なんて話を信じることができますか?
現実にいらっしゃるのです。
現在、東京大学の薬学博士、池谷裕二先生です(最近『新・情報7days』のコメンテーターとして時々出演されています)。
東大薬学部に進学するときにも大学院に進学するときにも、首席だったという驚くべき頭脳の持ち主です。
そのような方が九九を覚えていないという事実は、どのように解釈したらよいのでしょうか。
■九九の暗唱は早ければいい?
ところで、九九といえば、小2の算数ではある意味一大イベントです。子どもたちの間でも、競って早く覚えようとするものです。
この時期に、九九を覚えなくては一生涯学歴の道から外れてしまうと思ってしまうのか、日頃あまり教育に熱心でないお母様も、このときばかりはお家でも子どもに九九をたくさん唱えさせているのではないでしょうか。
ですから、小1、いえ、なかには幼稚園の頃から、九九を覚えているお子さんも最近では珍しくありません。昨今の早期教育ブームの影響なのかもしれませんね。
九九体操、九九数え歌、九九はやおぼえマシーンなどなど・・・。とにかく、九九を覚えなければヒトであらずとばかりに、たくさんの子どもたちが九九の暗唱にはげみます。
ちっちゃな可愛い子どもが、口を大きく開けて、九九を一生懸命に唱えている姿は、微笑ましくもありますが・・・。
■九九の暗唱は必要?と思わせる『海馬』という本
日本の小学生の算数力は、世界でもずば抜けて高い(ただし、高校生あたりから他の国々に抜かれているのが現状のようです)。これも、九九の暗唱のおかげだ!という話はだれしも一度は耳にされたのではないかと思います。
九九を覚えることが、算数(数学)をマスターするための最低条件。ほとんどの人が、そう考えているでしょうし、私もそう考えていました。
だけど、塾での指導中、あることがきっかけで、九九の暗唱がもしかして、かけ算の本当の理解から遠ざけているかもしれないと予感した頃、その予感を確信に変える、ある1冊の本に出会ったのです。
その本は、「海馬」。
コピーライターで有名な糸井重里氏と東大の薬学博士、池谷裕二氏の対談本です。脳に関していろいろなおもしろい話が楽しめるだろうと気軽に読み始めた本なのですが、なんと、この本に驚くべきことが書かれていたのです。
「考える学習」を徹底的に推し進めていけば、こんな素晴らしい境地が待っているのかと教えてくれる本です。
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