五感を信じる 薪ストーブで焼く誕生日ケーキ
アウトドアにはほとんど縁がなくて
キャンプもしたことがなかったのだけど
どういうわけか
毎日がアウトドアみたいな暮らしを
何年もしちゃっていました。
カレン族の村に住んでいた時は
朝晩のご飯作りは囲炉裏に火を起こして
鍋でご飯を炊くところから始まります。
着火剤も紙もないので、
たいまつをナタで細かく削って
まずはそれに。その後もう少し大きい枝、
もっと堅くて火が長持ちする薪へと
燃え移ってもらいます。
ご飯が炊けたら、火と薪の様子を見て
一番もったいなくないように
チャチャっと一、二品
おかずやスープを作ります。
日本に帰って来てからは、
長野の山奥の村に住んで
お風呂とストーブが薪だったので
火をつける(なんか物騒ですね。
火を起こす、と言えばいいの?)のは
さらに得意になりました。
朝はみんなより1時間くらい早く起きて、
まずはストーブに火をつけます。
薪と一緒に豆炭に火をつけて
それをこたつに。
同時にストーブの上で
スープを煮たり、
やかんで沸かしたお湯で
洗い物をするので、
火がつかないと、始まりません。
薪ストーブにはオーブンがついていたので
パンとか焼き芋とか
山羊の乳のプリンなども
そのオーブンで作っていました。
薪ストーブでケーキを焼く選手権があったら、
結構いい線行けたのはないかしら。
6人家族で山奥の村で暮らしていて
普段は食生活はとても質素
(基本自給自足➕ちょっと買う)
だったのだけれど、
それぞれの誕生日だけは
生クリームといちごののったケーキ🎂を作り、
お誕生日の主役さんが好きなように
デコレーションをする、
という慣わしになっていました。
卵はニワトリたちが毎日産んでくれるから
超新鮮なものが手に入ります。
いちごは家で採れる時もあるし
ない時は生クリームと一緒に買っていました。
6人の誕生日が
12月〜6月の間に集中しているので
冷蔵庫がなくてもクリームは溶けなかった(山の上は涼しかったから)し
いちごの季節からも外れていなかったので
ちょうどよかったのです。
薪ストーブのオーブンで
ケーキを焼くということは
少なくとも焼く時間の前後数時間は
ストーブをつけていることになるので、
暑い時期の生まれの人がいたら
別バージョンの誕生会にしたのだろう
と思います。
スポンジケーキを焼く時は
まず薪ストーブをしっかり温めて
ストーブ自体の温度が安定してから
薪や風穴の調節で火を弱め
中のオーブンの温度を下げていきます。
温度計はつけていなかったので、
なんとなくの匂いと
オープン内に手を入れてみて、
たぶん60度くらいになったと感じたら
焼き始めます。
焼き始めたら、
火の様子と焼き時間も見るけれど
ここで一番信用できるのは
自分の鼻です。
同じ時間焼いたとしても、外気温によって
薪の種類によっても
火のまわり方が違うからです。
オーブンから漂ってくる甘い匂いは
焼け加減でどんどん変わってくるから
「ちょうどよく焼き上がったな」
と思う匂いになったら、
取り出して確認します。
竹串を刺してみてスッと入り、
中身がドロっと付いてこなければOK、
中まで焼けています。
最初のうちは、たくさん失敗しましたが
慣れてくると毎回安定したケーキが
焼けるようになりました。
タイマー任せじゃなくて
適当でもなく、
自分の五感を信用して、
ストーブの温度と
一番良い匂いにアンテナを向ける、
そこに気づけた時だったのだと思います。
小さなことでも
できなかったことが
できるようになるって嬉しいね。