頭の変形は、予防しましょう☆彡
カーティー助産院は、赤ちゃんの頭の形だけでなく全体としての発達ケアを専門としていますが、実はバランシングセラピーや発達相談でカーティー助産院に来所される方の多くは頭の形を気にしていらっしゃいます。
この頭の形の問題ですが、実は端的には
「頭が変形している」=「体の使い方がどちらかに偏っている」
ということになりますが、それに気づいている方はとても少数です。
体の使い方が偏っているということは、赤ちゃんの発達がどちらかが使えてもう一方が使えていない可能性を指します。つまり本来左右差や前後差がない発達のはずが、すでに初期からそこに偏りが生じているということです。
「頭の形がきれいで丸い」ということは、美容的にとても素敵です。
しかし頭の形に注意を払うあまり、体の使い方、つまり歪みが生じた発達に目がいくことは少なく、本来の赤ちゃんの発達を阻害してしまっているという重大な事実が見えなくなってしまっているようです。
赤ちゃんが立って歩けるようになるまでの発達は、その後生涯を通じて使う体の基礎を作ることと同義です。頭と同じようにどこにも歪みのない全体としての発達ができていることが、非常に重要になってきます。
このような理由から、皆さんにこの事実を知って頂き賢い選択をしていただきたいのです。
頭の形を綺麗にする・丸くすることを選択した場合や、変形が気になってきたという場合には、それに続く体の発達の歪みのケアを行っていきましょう!と声を大にして情報発信していきます。
これをお読みいただけたなら、是非周りの人にも読んでいただけるよう共有していただければと思います。一人に紹介するだけでも、その環が広がれば想像するより多くの赤ちゃんの発達が変わり、将来が変わっていきます。
できれば「頭が変形してきた」となる前に、予防的にケアを提供することで頭の変形を避けることができる、ということをまずは皆さんに知って頂きたいと強く願っています。
このような思いから、折に触れて昨今の頭の形に関する文献なども交えて、今後書いていきたいと思います。より多くの知識を得ることで予防的な介入になり、結果として頭の変形も減ることを願っています。そして、頭の形が変形してしまっているならば、体の使い方の偏りがないようにケアが大切であり、その知識も得ていただければ嬉しいです。
それによって、赤ちゃんが将来的に持つ可能性を最大限叶える身体が作り上げられるお手伝いができることを望んでいます。
まずは最近の研究からご紹介します:
「Preventing deformational plagiocephaly through parent guidance: a randomized, controlled trial
Eur J pediatr DOI 10. 1007/s00431-015-2520-x
変形性斜頭症(Deformational Plagiocephaly; DP)が注目されたのは、1992年米国小児科学会(AAP)が乳幼児突然死症候群を減少させる目的で行われた「Back to sleepキャンペーン」と呼ばれる勧告から始まります。
当時SIDS(乳幼児突然死症候群)のリスク要因としてうつぶせ寝が関連することから、「Back to sleep, Tummy to play」としてキャンペーン展開されました。このキャンペーンで赤ちゃんをうつ伏せで寝かせず仰臥位にしておくことを推奨した結果としてSIDSは劇的に減少しました。しかし弊害として頭蓋変形が顕著に増加してしまいました。それを受け、頭部の一定の場所だけが圧迫されるような赤ちゃんの仰臥位での睡眠は避けるよう啓発がなされましたが、最近ではこの仰臥位での睡眠だけが頭の変形の問題を引き起こしているのではなく他の要因もあるとされています。
頭の変形を引き起こす要因としては、出生後の向き癖、つまり好んで向く体位や頚椎に起因する運動学的不均衡が指摘されています。簡単な説明としては、向き癖は好んでむく方向が一方に偏っている、そして頚椎の問題は頚椎にブロックがかかってしまい向きたくても向けない・首の回旋ができないということになります。
どちらにせよ片方に向いたまま長時間過ごすことによって頭蓋の一部に外力が加わることで生後2−4ヶ月をピークに変形をきたしやすくなるのです。
頭の変形は、赤ちゃんの置かれている環境や寝かされ方の検証、ベビーハンドリングと呼ばれる日常のケアによって予防できることがわかっています。そのため、より早期に赤ちゃんを扱う主な保護者にベビーハンドリングを正しく知ってもらい実施ことによって将来の頭の変形を予防することができ、同時に歪みのない発達を促進することができるのです。
ベビーハンドリングの具体的な内容としては、以下が挙げられます:
* 仰向けで寝かせるときに頭の位置を左右交互に均等にすること
* 赤ちゃんへの働きかけもまんべんなくあらゆる方向から行うこと
* ベビーベッドや日中過ごす場所の光源となる位置を定期的に変えること
* 赤ちゃんをあやしたり、抱いたりする場合にも左右交互に行うこと
* 赤ちゃんが起きている時間は、カンガルーケアのようなうつ伏せに近い姿勢で過ごすこと
* 抱っこ紐やバウンサーなどで過ごす時間を極力短くすること
以上のような環境が提供されれば、赤ちゃんは頭蓋の変形する確率が減少し、生後3ヶ月時点での頸部の動きが改善でき、左右対称の感覚運動発達が促進されると報告されています。
以上に挙げたような項目を細かくチェック・指導できる助産師を(一社)国際母子ケア協会が養成しています。
お近くの「赤ちゃんトリセツ®」教室でぜひ習ってください。
赤ちゃんのポテンシャルを最大限に引き出せるような発達を促しましょう!