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ザックに会わせろ(レイジを語る)

以前の記事で菜食主義、ベジタリアンになったということを書かせていただいた。

現在もこれは継続中。そろそろ4ヵ月ってとこかな。

菜食主義になってしまえば、食べ物を食べる際、そして購入する際に肉が入っているか注意を払わないといけない。特に外食する時には、意外な料理に肉が入ってたりするため少し面倒ではある。しかし、慣れればそれも別に大したことはない。時折肉が恋しくなることも、ないと言ったらウソになるが、肉を食わんでも世の中には美味い食べ物が多くあることも菜食主義を継続することで改めて知ることができた。以前よりも体の倦怠感がなくなったような気もするし、メリットの方が多いくらいである。

さて、リンク先の記事に菜食主義になった理由をいくつか挙げているのだが、この人物がいなけりゃまずここまで踏み込むことはなかっただろう。こいつがベジタリアンを公言していたからこそ、彼の信者ともいえる俺もベジタリアンになれた。

ザック・デ・ラ・ロッチャ

ミクスチャー・ロックバンド、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(通称レイジ)のボーカルである。

1991年にアメリカにて結成されたこのバンド。2011年に活動を停止したが、今年2020年にファン念願の再結成。なんてこった・・・たまらんわ。

僕がレイジに出会ったのは日本にいた頃、数年ほど前のことである。その頃も彼らの姿勢だったり音楽性に心打たれたものだったが、自分の中でそれなりに好きなバンド、という位置に収まっていた。

ところ代わって現在豪州。色々な人と色々な話をしているうちに、自分の知識不足を恥じた。もっと政治だったり、日本、世界の歴史について知る必要があると感じた。Youtubeの動画で時間があれば学びを得る日々。様々な国、戦争の歴史を知ることで起こった感情は、知的好奇心よりも過ちに対する悲しみ、怒りといった負の感情だった。毎回そんな感情が沸き起こると脳内にレイジが響き渡る・・・レイジの音楽、そしてどういった活動をしてきたかを改めて知りたいと思い、以前より彼らについて深く調べようと思ったのだった。

そこで分かったこと。

こいつら、

本気で世界を変えようとしている・・・

レイジの繰り出す俗に「ミクスチャー・ロック」と呼ばれるジャンルの音楽は、ロックやメタルといった音楽にラップやファンクといった黒人音楽の要素を取り入れたものである。こういった複合音楽というのは、ジャンルとして確立していない時には中途半端になってしまいがちらしいのだが、レイジの楽曲はラップ、演奏どちらも群を抜いてクオリティの高いものだった。この「ミクスチャー・ロック」というジャンルを根付かせたという意味でも、ロック界における功績も輝かしいバンドだ。

しかし、特注すべき点は他にもある。むしろこっちが本命。

彼らは、音楽を用いた革命家である。

政治色の強い壁画家の父、反戦家の母との間に生まれたボーカル、ザック。そして、父は国連代表になり、両親共に運動家であった、ギター担当、トム・モレロ。この二人を中心に結成されたのがレイジだ。何か起きないわけがない。

レイジの楽曲の多く、というよりほぼ全てで叫ばれているのは、アメリカ合衆国のシステムの痛烈な批判、そして、一般人への強いメッセージだ。アメリカ国民はもちろん、そうでない俺たちにも訴えている・・・

騙されるな。

疑え。

行動せよ。

レイジのメッセージは、過激すぎるほどに彼らがもたらすあらゆる媒体に詰め込まれている。

記念すべきファーストアルバムのジャケットは、ベトナムの独裁政権に批判する一人の僧侶、が、抗議のため焼身自殺をする写真という衝撃的すぎる内容。

星条旗を逆さに吊るし、時にはそれを燃やしながら行ったり、時には党大会会場外でゲリラ的に行ったりされるライブ。

そして、何といっても彼らの楽曲の詞の内容である。

Some of those that work forces, are the same that burn crosses
(権威を振りかざすやつは十字架を燃やすやつと同類だ)

(Rage Against the Machine 『Killing In The Name』)
Yes, I know my enemies!
(俺は敵が誰かを知ってる)
They’re the teachers who taught me to fight me
(個性を出さないよう教えた教師たち)
Compromise, conformity, assimilation, submission
(妥協、従属、同化、服従)
Ignorance, hypocrisy, brutality, the elite
(無知、偽善、残虐行為、エリート)
All of which are American dreams
(それがアメリカンドリームってやつだろうが!)

(Rage Against the Machine 『Know your enemy』)

ミュージックビデオのインパクトも忘れてはいけない。

三枚目のアルバム『The Battle of Los Angeles』のオープニングナンバーでもある曲、『Testify』。ビデオの内容は、地球を侵略しようとする宇宙人がミュータントを送りこむ、のだが、そのミュータントというのが当時大統領選で対立していたブッシュとゴア・・・皮肉をゴリゴリに前面に出しつつ、世界の悲しい出来事が次々と映像にて襲い掛かってくる。「俺たちは、ブレねぇぞ、かかってこい」といったレイジの真っ直ぐな熱い姿勢がここからも見てとれるのではなかろうか。

MVといえば、『Sleep Now in the Fire』も忘れてはいけない。

アメリカのあらゆる問題点をクイズ番組になぞらえて批判。そして、実際にバンドが演奏しているのは、資本主義の象徴、ウォール街証券取引所の前である。最終的に撮影者のマイケル・ムーア含めバンドは逮捕されたものの、このゲリラライブを通してレイジは建物の前を混乱させ、一日だけ証券取引をストップさせることに成功した。ロックの塊だ。

彼らは知っているのだろう。

表現が人を変え、人を動かすということを。

だから音楽という手段を取り、いわゆる政治活動を行っているのだ。

とここまでレイジについて中途半端なまとまりのまま述べてきた。昨年再結成を発表したのも、おそらく2020年大統領選を踏まえてだったのだろう。米国の政治や権力を批判するためにレイジはやってくる。

残念ながら世界ツアーは現在の情勢を鑑みて延期となってしまったが、まだ、まだレイジを観れるチャンスはあると信じている。神様、俺が生きてるうちに、できることなら豪州にいる間に、レイジに、ザックに会わせてくれ。I've got no patience now...

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