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イタリアの小さな村の幸せ

BS日テレで放映されている「小さな村の物語イタリア」。私の好きなテレビ番組ベスト3の一つである。
イタリアの美しい小さな村に暮らす人々の人生や日常を描くドキュメンタリー番組で2007年から放送されている。ご覧になったことがない方のために公式ホームページからの情報も添えて番組の素晴らしさを知っていただこうかと思う。

この番組が好きな理由、キーワードは「幸せ」だ。

都会の喧騒から離れた小さな田舎村が舞台。自然と共存しながらシンプルな暮らしを送っている主人公や家族たちが主役で、彼(彼女)らの生きざまをゆったりと紹介する番組である。そっと語り掛ける俳優の三上博史のナレーションが番組のクオリティーを盛り上げる。また、馴染みのない曲の数々であるが番組で使用されるイタリアの曲がまた音楽好きな私の琴線に触れるのだ。

田舎の小さな村というと何を連想するだろうか?日本の場合「ダーツの旅」の番組などでよく見るシーンだとこうだ。
「自分の町の良いところ?」「何もない場所、退屈なところ・・・」など口をそろえたよう答える。特に若者は、である。
少々ネガティブだが、こんな表現のしかたもあるかもしれない。
「時間が止まったような」
「刺激がない」
「変化のない単調な生活」
「地域のしがらみ」
「プライバシーがなく人の目が気になる」

「小さな村の物語イタリア」に登場する舞台はまさにこのような退屈そうな村なのだが番組を見終わったあとは、なぜか幸せな気分になる。そんなポジティブな番組だと感じてる。

番組の良さを理解していただくために、どんな幸せなイタリア人が登場しているのかを紹介させていただきたい。

一番手は
ジュゼッペ(70歳男性・石窯パン職人)~村のパン屋の主人
ジュゼッペは祖父の代から続くパン屋を経営している。毎朝4時に起きてパンを焼き始まるのが日課で、伝統的な石窯で薪を使いながら焼くパンは、村人から大人気。昼過ぎには仕事を終え、広場で友人たちと好きなワインを飲んでおしゃべりをし、楽しい毎日過ごしている。都会に出た息子がたまに孫の顔を見せにやってくるのも楽しみだ。
彼は先祖から受け継いだパンを焼く技術を守ることに誇りを感じており、深いつながりがある村の人々から「ジュゼッペのパンがないと始まらない」と感謝されているが何よりの誇りなのである。
ジュゼッペは幸せだ、それは
先祖から受け継いだ技術を守ることに誇りを感じていること。深いつながりのある村人から「ジュゼッペのパンがないと始まらない」と感謝されていること。
そして、仕事が終わればのんびりと過ごし、好きなワインを楽しめる生活があるから。


2人目
アンナ(65歳女性・牧場の羊飼い)~家族経営の牧場の女性
アンナは夫と共に山の斜面で羊を飼いチーズを作っている女性で、毎朝、羊を連れて牧草地に向かい、放牧しながら空を眺めるのが好きだ。娘は村の市場でアンナが作ったチーズを販売してくれ、小さいながらも親子で小さなビジネスを営んでいる。冬になると、家族総出でサラミ作りやワインの仕込みもする。自家製ワインの仕込みは番組でもよく見られるシーンだ。
アンナは幸せだ、それは
夫や娘と協力しながら、昔ながらの暮らしを守れており、何よりも大自然の中で働き、季節の移り変わりを感じながら生きていること。もちろんチーズを買いに来る村の人々との温かい交流も何事にも代えられない財産と考えているから。


3人目
マルコ(45歳男性・大工)~村の古い家を修復する職人
マルコは100年以上前の石造りの家を修復する仕事をしており、伝統的な工法を大切にしながら、村の風景を守ることに誇りを持っている。仕事の合間には、ワインを作るのが趣味で、自家製の赤ワインを楽しんでいる。妻と二人暮らしで、休日は海沿いの村までドライブするのが楽しみにしている。
マルコは幸せだ、それは
自分の仕事が村の文化や景観を守ることに直結していることに誇りを持っているから。仕事に誇りを持てるとは最高の生きがいだ。趣味と仕事のバランスを取りながら、妻との時間を大切にし、ストレスの少ない、そして無理をしないライフスタイルを維持している。


4人目
エレナ(33歳・村のバールのオーナー)~村の社交場を切り盛りする女性
エレナは小さな村にある唯一のバール(カフェ兼バー)を経営している。朝はエスプレッソを求める常連でにぎわい、夜は村人が集まる場所になる。少ない村の社交場の一つなのだ。
幼い娘を育てながら仕事をしているが親戚も手伝ってくれる。村の祭りでは、特別メニューを用意してみんなにふるまうことに喜びを感じている。
エレナは幸せだ、それは
「村の人々の憩いの場」を提供することで感謝される存在になっていること。家族の助けを借りながら、仕事と育児のいいバランスを保ちながら暮らしていること。村の人々との会話が楽しく、毎日が充実しているからだ。


5人目、最後は
ルイージ(80歳・元漁師)~海沿いの村に住む引退した漁師
ルイージは若い頃は漁師として働いていたが、今は自分のために小さなボートを出す程度になった。毎朝、海を眺めながらコーヒーを飲むのが日課。孫と釣りに行ったり、近所の子供に漁のやり方を教えたりしている。週に一度は昔の仲間と集まり、ワインを飲みながら思い出話をするのを楽しみにしている。
ルイージは幸せだ、それは
体力的に無理をせず、好きなことをして過ごしていること。孫や村の子供たちとの交流があり、次の世代に経験を伝えられることがかけがえのない喜びに感じていること。海を見ながら静かに暮らすのが心の安らぎになっているからだ。

『小さな村の物語 イタリア』に登場する人々は、それぞれの仕事や暮らしを大切にしながら、無理をせず人生を楽しんでいる。そして彼らはこんなことを観るものに教えてくれている。
仕事に誇りを持ち、村の一員としての役割を持とう
技術や伝統を大切に守ろう
家族や仲間とのつながりを大事にしよう
四季の変化を感じ自然と共に暮らそう
お金や成功よりも、心の豊かさを優先しよう

このような彼らを見ていると「本当の幸せって何だろう?」と考えさせられる。

もし番組を見る機会があったらエンディングは見逃さないでほしい。やさしい光が心の奥底を照らすように、生き方のコツをささやいてくれるから。
まさにそれは人生の真理とも言える気がする。
競争社会の中で気が付かないうちにストレスを抱えての毎日を送る日本人。小さなイタリアの村の人達の価値観をほんの少し取り入れることで安らぎや幸せを感じられるかもしれません。


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