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演じるということ

目標を持つことは大切だと思っている。
少しでも早く目標に近づけるように「理想的な自分」に変われないものかと常々考えるのだがなかなかそうはいかない。

「理想的な自分」になるためには
「なりたい人」のイメージを具体的に思い描き、模倣や演技でもよいので「なりたい人のように振舞う」というのが一つのアプローチ法である。例えば、幸せになりたければ、元気に笑顔で幸せそうに過ごすみたいに、だ。

模倣、演技、振舞う、まるで役者のよう。

近年「Netflix」などの配信サービスの恩恵で気軽に映画を見る機会が増えて思うことがある。
映画やドラマの中で他人になり替わって他人の人生を経験したように演じ、私たちを別世界へと引き込み心を動かし楽しませてくれる役者、凄い人たちだ。

表向きは華やかな世界に身を投じているように見える役者だが、裏腹に、演じる苦労に伴って自身の内面に大きなマイナスの影響を及ぼすことが稀にあることを知った。

例えば、リアルの自分とかけ離れた役や、重い感情を抱えた役を長期間演じた際、稀にだが、役柄の性格や口癖、行動が染み込むように自身に定着してしまう。転じて役と自分の境界線が曖昧になって自身のアイデンティティーに影響を与えることがある、というちょっと怖いケースがあるそうだ。

この現象は「ロール・エンゲージメント」と呼ばれている。
ロール(roll)は役、エンゲージメント(engagement)は一般的には婚約とか従事、契約する、の意味だから「ロール・エンゲージメント」は「役にのめり込む」「役にはまる」というイメージだと思う。

「ロール・エンゲージメント」の弊害としてこんな事例がある。
映画『ダークナイト』という映画はご存じだろうか?
登場するピエロのような風貌のジョーカーはバットマンの最大の敵であり映画の中では超極悪であるが主人公。演じたのはヒース・レジャーという俳優だ。
映画の影響力のせいでジョーカーを真似た身なりをして電車内で放火事件を起こした犯罪が日本で起きたのは記憶に新しい。

ヒース・レジャーは映画『ダークナイト』出演にあたり、犯罪者の思考回路を専門書で研究したり、ジョーカーになりきって日記を書いたりするなど、徹底的な悪人の役作りを行ったそうだ。
結果、その役柄が精神的負担を引き起こし睡眠障害に悩まされ、そして映画の公開前に薬物中毒死で人生を終えるのである。
「ロール・エンゲージメント」が原因と言われるが、演じることにのめり込みすぎたがゆえに迎えた気の毒で悲しい結末を迎えた。

ちょっと怖い事例だったが
自分の理想に近づくための方法として「なりたい人」を模倣し演じ「なりたい人のように振舞う」というアプローチを利用できるのは、役者ヒース・レジャーが選んだ「ロール・エンゲージメント」の例で明らかだ。

目標を持つことは大切だ。もたないより持った方が良い。
目標達成のためにも「なりたい人」を模倣し、演じ、振舞って「なりたい人」になってみようかと思うことがある。
とりあえず、顔で幸せな人を演じてみようか。周りの人たちに幸せが伝播するかもしれないし。

あなたは目標達成のため「なりたい理想的な自分」があるだろうか?

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