保育現場の研修講師をしています
前の記事で、保育士それぞれの違いを知る対話のワークショップについて書きました。
保育の質を上げるため様々な保育分野の研修がありますが、共に働く職員との関係性も質を上げていきたいところ。風通しの良い関係性があるからこそ、保育をする人たちは安心して専門性を発揮することができるからです。
しかし人間関係のことは頭でわかっていても、感情が伴ってくることなのですぐにうまくいくとは限りません。保育士が離職をする理由の上位に、必ず「人間関係」が上がってきます。
年度末に差し掛かってきた今、職場で相談ができず、来年度に向けて「どうしよう・・」と悩んでいる保育士さんは多いのではないでしょうか。
合同会社ホイクネクトでは、組織力アップのため、共に働く人たちと実際に対話をしながらその時の感情に向き合うワークショップをしています。
今回は、その対話ワークショップ研修を、札幌市内の保育園でさせていただきましたのでご紹介します。
価値観が違う人と仕事をしていることを知る
一緒に働いている人が同じ方向を向いていることは大切ですが、同じ価値観とは限りません。なぜなら、保育士を目指した理由も、学んできた環境も、経験や見てきたことも全て一人ひとり違うから。
なのに毎日一緒に仕事をしていると、「わかってくれているはず」「察してくれている」ことを前提として進んでいることがあります。
今でこそ「違い」は個性であり、強みであるという考え方ですが、会議で他の人と違う意見を言いにくかったり、先輩や管理職の先生が言う言葉に「私は違います」と言うのはかなりの勇気が入ります。けれど、違って当たり前なんだと言うことが職場の中で共通理解できると、場の心理的安全性は一気に高まります。
人には人の筋道の通った世界があり、自分とは違う、その人の世界があると言うことがわかると、その人の背景にも意識が向いていきます。
保育現場の離職の理由は、人間関係がトップだと言われています。
日々の保育の中で、
「なぜ、その人はそんなふうに考えたのだろう」
「自分とは違っているけど、それはそれでいいのかもしれない」
と少しでも相手の違いを受け入れることができたら、働きやすさは違ってくると思います。
とにかく、ハードルを下げて話してみようよ
何気ない日々のやりとりは、会話です。
会話は特に何について話すとか、どこをゴールにすると言うことはありません。
しかし対話は、何かしらのテーマがあります。
そして「こうしていきたい」と言う目指したいゴールがあります。
対話をしていると、ついゴールを目指してしまいがちですが、そこは急がずに。
難しく考えず、相手に関心を持って対話を重ねていくうちに、参加の皆さんの表情がどんどんよくなっていき、笑い声も響いていました。
最後に
今回ご参加いただいた保育園職員の皆さんからいただいたご感想です。
保育中は職員同士でゆっくりと話す機会が少ないので、良い研修だった。とてもわかりやすく、楽しみながら参加ができた。
他クラスの先生と、保育や対話について話すことはなかったので、良い時間だった。自分の見え方と相手の見え方が違って当たり前だと言うことが印象的だった。これからの保育や職員間の関係性に活かしていきたい。
お互いのことを知ることができよかった。役職関係なく話すことができてよかった。
向いている方向は同じでも、掘り下げてみると意見や考えが違うことがあるので、「他者の合理性」を大切にしながら、子どもや先生たちと向き合っていきたいと思う。
このワークショップは、共に働く人たちと一緒に受けていただくことで、より効果が出ます。明日からの保育に直結していきます。
保育の仕事はすぐに結果が出るものではなく、日々の積み重ねが大切です。
また保育士は、「みんな違ってみんないい」の価値観を持って、子どもや保護者に眼差しを向けている人たちです。
ぜひその価値観や眼差しを、一緒に働く仲間にも当たり前に。
忙しい日々の保育の中で、少しホッとしながら気づきを得るきっかけを作っています。