聖書は音読すべし
「聖書協会共同訳・詩文の魅力を語る」を聞きに行ってきた。
石川 立氏(原語担当、同志社大神学部教授、専門は詩篇)と春日 いづみ氏(日本語担当、歌人、「水甕」副代表)の対談。大変示唆に富む対談だった。
2018年12月に出版された『聖書協会共同訳』は画期的な翻訳理論・スコポスに基づく翻訳。
その翻訳の考え方については、聖書協会の文書 (PDF)にくわしい。
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石川氏は〈聖書は音読して体に入れよ。意味や内容は同時に入ってくる。繰返し音読しているうちに、いつしかテクストが自分のなかから出てくるようになる。祈りともなる。〉という趣旨の発言をした。
今回は、翻訳の目的が、礼拝で朗読されるテクストの作成だったため、これは非常に理にかなっている。
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歌人の春日氏は翻訳の初期の段階から原語担当者の訳に日本語担当者の立場からすばずばと修正意見を述べていったようだ。
このように、原語担当者と日本語担当者とが1対1でチームを組み、数章づつ検討しながら翻訳が進行した。
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ひるがえって、ふつうの翻訳者のばあい、この2つの役割を1人が兼ねる必要がある。そう考えれば、今回の翻訳は理想的なプロセスを経たといえるだろう。