増粘剤の話
今回は食品添加物の中の増粘剤について書く事にします。あまりピンと来ない食品添加物という事もあるからでしょうか、どんな役割で添加されているのかのイメージが出来ません。どんな目的で使われているものなのでしょうか。
粘度という言葉だけの意味を調べてみると、「流体が持つねばりの度合い」といった説明でした。用いる表現も材料や使用目的に応じて様々な言葉が使い分けられています。例えば「なめらかさ」とか、「クリーミーさ」とか、「ベトベト」「まとわりつくような~」「ドロドロ」等といった表現がある場合、粘度を表しているものだと判断できます。
食品の範囲で考えても、「とろみ」「なめらかさ」といった表現はよく耳にしますよね。これらは何らかの形で粘度があるのでそうなっているわけです。感覚的なものという認識になりますが、増粘剤は食品に粘度をつける目的で使用されるされるものなんです。
では、なぜ食品に粘度をつけるのでしょうか。「とろみ」や「なめらかさ」といった表現にヒントがありそうです。
じつは、食品の製造や加工の過程で必要だったりするんです。そのままの状態で材料同士を混ぜるよりも、いくらか粘り気があった方が材料同士が混ぜやすかったり、お互いによく絡んで味に関わってきたりするとのことでした。もちろん、食感をよくするためという理由もあります。
先に挙げた「なめらかさ」といった言葉は、食べた時のおいしさにも関係しています。口にした時の食感とか舌ざわりはとても重要です。「とろみ」の方は食品の側のことですが、それだって「見た目の味のうち」と考えれば必要ですね。
話の内容が違う方向に行きますが、「とろみ」は介護食では外すことが出来ない話題に一つです。これが有るか無いかで大きく違ってくることがあります。
この場合のとろみ剤とは、飲み物や食べ物をゆっくりと喉に送るために使う調味料です。誤嚥という大きな問題があって、介護に関わる方々は如何にしてこの問題をクリアするか、常に取り組んでおられます。その時の心強い味方になるのが「とろみ剤」なんです。
高齢になると体の様々な機能が衰えてきます。これ自体は自然な事です。しかし、脚力や体力の様に判断しやすいものもあれば、脂っこいものを食べた後の消化・吸収といった、比較的早い時期から気が付くものもあります。噛む力や飲み込む力のように、うっかりすると誤嚥といった大きな事故につながりかねないものもあります。
高齢になると、次第に飲み込むスピードが遅くなっていくこともあります。食事をうまく飲み込めないとか、食べ物がつかえるとか、むせるといった場合も出て来るでしょう。また、中には水のようにさらさらとした飲み物だと、注意しないと気管に入ってむせてしまうことも出て来ます。
こういったことを防いで安心して食事をしていただくために、食品にとろみをつけて多少粘度を上げることが必要になってくるんです。そのために使用するのが、とろみ剤なんですね。
食事は楽しくしたいものです。いくら安全にといっても、とろみを加えることで味が変わってしまったら残念ですね。また、加熱しないととろみがつかないと困ります。また、使い過ぎると反対に食べにくくなってしまうかもしれませんので、どれくらいの量が適切かといったことも明記されています。
とろみ剤は、増粘剤としての用途とは異なります。本来の増粘剤は製造や加工の段階で添加しますので、使うタイミングも両者では異なります。似たような効果があるので一緒に書きましたが、本来は全くの別ものですので、その点は間違えないようにしてください。