ワーキングメモリの話
ワーキングメモリとは
脳の話をする時に欠かせない話題の一つ、ワーキングメモリについて考えてみます。そもそも、ワーキングメモリとは何でしょうか。
ワーキングメモリとは、今行なっている作業に必要なことを記憶しておく能力のことです。例えば、どこかに電話をかける時には相手先の電話番号が必要になりますが、ケータイに記憶させていなければ自分で番号を調べてかけなければなりません。そんな時に、相手の番号が大きな台帳にあったとすると、それを見ながら番号をかけることになります。そんな時、右を見て左を見たら忘れている、これでは困りますよね。数秒でもよいから、しばらくは覚えていたいものです。
そういったごく短時間でも良いので、作業のために覚えておける記憶のことをワーキングメモリといい、作業記憶とも呼ばれます。先に挙げた電話番号の例では、電話をかけるために必要な記憶ですから、終わってしまえばもう必要ありません。忘れてしまって構わないのです。要領が良い人であれば、次にまた必要になるかもしれないと考えて、ケータイに登録するかもしれませんが。
話の受け答えなどの場面でも同様です。相手の話を聞いて一旦それを記憶し、その内容を理解して返答を考え、そして返答する、話の流れに沿ってどんどん記憶する内容を入れ替えていき、古い内容をその都度忘れていく、そんな一連のことを無意識にやっているんです。
これって、頭の良さなんていう評価につながってきそうですね。
頭が良いとは
頭の良さに定義があるのかどうかは分かりませんが、いろいろなことをよく覚えている人、目から鼻に抜けるように理解が早い人などは、頭が良いと判断されるようですね。
その時に、今言ったこと、その前に言ったこと、更にその前に言ったこと、そんなことまで覚えている人がいると、なぜか頭が良いと考えてしまいます。この場合は短期記憶も関係してきそうな内容ですが、よく考えてみるとこれは、ワーキングメモリが大きく関係していることは間違いないようです。なぜって、記憶と理解は別物ですから。ましてや、たくさんの仕事の処理が出来るとか、的確な判断を下せるとか、この辺りは仕事の処理能力なので、ワーキングメモリとは別物になりますが、関係が無いわけではありません。ある程度でも覚えておかないと考慮の範囲に入らなくなってしまいますから、それだけ情報や物事が抜けてしまう事にもなりかねません。
この辺りの話は、大人であればご自分の立場や収入に関わってくるので、とても大事な話題になってくるでしょう。子供であれば、その人の将来に関わってくる話にも関係してきます。ですから、誰にとってもワーキングメモリの話題は重要です。
そして、もっと気になることがありますよね、どうにかしてワーキングメモリを増やしたいということ。
ワーキングメモリの容量を増やしたい
一般に、ワーキングメモリの容量は決して多くないとされています。マジックナンバー(マジカルナンバー)と呼ばれるように、7±2とか、4~5±2とか、決して多くないようですね。しかも、年齢が上がると段々その容量が小さくなるともされています。単語の数や数字であってもそうですが、ちょっとした文章のような言葉であっても、できれば簡単に覚えて、今やっていることに役立てたいものです。
1 日頃からイメージ力を鍛える 鍛えるというほどではないかもしれませんが、言葉や数字よりもイメージの方が情報量が多いので、それを利用しましょう。例えばラジオで聞く話の情景をイメージしてみるように、言葉だけで聴いている話の内容について、どんな情景で、どんな登場人物がいて、どのような会話をしているか、どんな場所にいるかなどを想像してみるという方法です。日常的にこれを行なうと、イメージ力がついてきますので、視覚的な意味でも良いと思います。
2 運動しながら何か作業を行う 緻密な作業は物理的に無理がありますが、体を動かしている時に別のことを考えてみる、それもしっかりと系統立てて何かを思い出してみるということでよさそうです。あるサイトでは、風呂で体を洗いながら前日の食事の献立を朝から順に思い出してみるということが書かれていました。
3 睡眠をしっかりととる 睡眠不足では頭はピンぼけ状態になりかねません。睡眠不足で頭が痛くなったりすると、何かを覚えるどころの話ではなくなってしまいます。しっかりと休息を取ることは、ワーキングメモリ以外でも重要なことです。
4 妄想(?)する 何か楽しいことをどんどん考えていくという方法を挙げているサイトがありました。とくにポジティブな事を考える癖をつけておくと、脳の中のある部分が活性化しやすくなるのだそうです。その部分はワーキングメモリにも深く関係する場所なんだとか。これは期待が出来そうですね。
他にも、普段の生活リズムをなるべく健全なスタイルにしようとか、暗算をいろいろとやってみるとか、方法はいくらでもあるようです。また、とにかくすぐにメモに書いて頭の中を整理して、なるべく覚えておくことを少なくするという方法をとっている人もいるそうですから、こういったものを参考にしてみてはいかがでしょうか。
ストレスが大敵であることは言うまでもありません。