![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/164498356/rectangle_large_type_2_4bf70a0b316ba75820c7070e7f1b1e9a.png?width=1200)
臨床検査の種類、免疫学的な検査
前回は採血の時の話や異常値が出る理由のことを書きました。患者さんの側の負担も含めたいろいろな苦労を経て、いただいた血液を使って分析をするわけです。血液を使った検査の分野として化学分析の事を書きましたが、今回は免疫学的な分析の事を書きます。免疫というわけですから、抗原抗体反応といった名前が浮かんできますが、「抗原」は身体に侵入してくる異物、それに対して身体が防御反応をして抗原を排除するために作られるのが「抗体」です。主に感染症、あるいはアレルギーなどの疾患が対象となりますが、その他にも様々な項目が行われます。
この分野の臨床検査項目で最も頻繁に利用されるものは、炎症が起きているかどうかを調べるものでしょう。CRPという名称の項目ですが、昔は測定して結果が出るまでに16時間以上かかりました。ですから、午前中に検査をスタートさせると後は静置しておいて、翌日の朝に結果を判定するといったものでした。さほど手間のかかる検査項目ではありませんが、時間がかかるところが難点だったのですが、科学の進歩は素晴らしい成果を生み出します。前回書いた分析装置に乗せて30分もかからずに結果を出せるようになったのです。それまでの検査項目と区別する意味で、また、ほぼ別の項目になっているだろうという事もあって「高感度CRP」といった表現になっていました。現在はこの方法が主流で分析を行っていますので、単にCRPとだけ称しています。それだけ検査結果を迅速に報告できるようになったわけですね。これは医療機関にとっても患者さんにとっても、大きなメリットです。
それ以外の検査項目となると、やはり抗体検査でしょう。いろいろな抗体を測定していますが、免疫学的な分野ですから「抗原抗体反応」を利用することになります。利用するといっても、毎回抗原にあたるものを用意するといったわけではありません。目的の抗体を調べるために測定機材や薬品などがセットになっているんです。また、専用の分析装置が別にある場合もあります。ただ、これらの検査項目の中には特殊なものも含まれてきますが、多くの医療機関ではこれらの検査項目も実施できるとなっていますので、必要に応じて検査をしてくれます。
血液中の抗体を測定するという事ですが、患者さんからいただいた血液を処理して血清を取り出し、これを検体として用いて検査します。抗体の有無を調べる場合は感染症に関連した検査項目が中心になります。よく用いられる検査項目として各種肝炎ウイルスなどがありますが、ホルモンを測定したり腫瘍マーカーを測定したりもします。アレルギーの検査としてもアレルゲン(アレルギーを引き起こす抗原にあたるもの)を特定するために行なったりもします。血液型や輸血のための検査も、免疫学的な検査の分野に入ってきます。免疫学的な検査といっても、どちらかというと抗原抗体反応を利用して測定する検査といった感じですね。
アレルギーの話が出たので、それに関連したことを少し書きます。主に春先に話題として出て来る花粉症、牛乳がダメとかエビやカニがダメとか卵を食べると蕁麻疹ができるといったような食物によるアレルギー、ハウスダストや動物アレルギーと呼ばれる状態、その他にも様々あるでしょう、その度合いも人によって様々かと思いますが、これらは全部「アレルギー」です。
アレルギーとは、特定の物質(これをアレルゲンと呼びます)に対して、その人の過剰な免疫反応によって身体の症状を引き起こすものを指します。出て来る症状ではくしゃみや咳、発疹などがありますが、強く出る人の場合は呼吸困難などの重篤な状態になる事もあります。あくまで一般論ですが、一部のアレルギーでは生命に関わりかねない反応を引き起こす場合があります。この場合の反応をアナフィラキシー反応と呼びますが、これが出ると先に挙げた呼吸困難や意識障害、血圧の(時に急激な)低下といった状態になりかねません。生命に直接影響を及ぼしかねない状態ですので、すぐに医療機関に搬送することになるでしょう。免疫反応も過剰になってくると、自身を大きく傷付ける場合が出て来ます。
多くの例でアレルギーはご本人が知っているでしょう。ですから、周囲の人が無理強いなどして万が一のことになれば取り返しがつきません。たとえ冗談であっても、絶対にアレルゲンにあたるものをご本人に触らせたり食べさせたりしてはいけません。周囲の人の理解が必要です。アレルギーについての詳細はインターネット上にも数多く情報が載っていますので、そちらも参考にしていただきたいと思います。
アレルギーに関連した話をもう一つ、多くのアレルゲンについては検査が出来るようになっています。花粉症を一つ取り上げたとしても、春にアレルギーを発症するタイプがある一方で秋の草花で発症するタイプもあります。同じ春に発症するタイプでも人によってどの花粉で発症するのかが異なる例があります。そのため、詳しく調べる必要が出てのですが、通常は医療機関でアレルゲンを調べることは可能です。アレルゲン自体をセット化して複数も項目を一度に調べるといった方法もあるようです。この辺りは医療機関に問い合わせてみるとよいでしょう。
アレルゲンが特定できたら、後はそれぞれの医療機関の医師から説明があるでしょうから、その注意事項を守れば大きな問題は起きないでしょう。原則として、アレルゲンを遠ざけるようにすることになるのではないでしょうか。
仕事アレルギー(?)、これは身体や免疫の問題ではなくてメンタルの方の問題でしょうね。医療機関よりもカウンセラーさんに相談してもらった方がよいでしょう。