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26、ヘパトカインの話

肝臓からもホルモンが出る?

肝臓からホルモンが出ていたって、知ってましたか?

私は知りませんでした。それにしても、いろんな臓器からいろんなホルモンが分泌されているんですね。何種類かのホルモンがあるらしいのですが、その中の一つについて紹介します。

名前を「ヘパトカイン」といって、へパトとは肝臓を意味します。カインの方は「サイトカイン」とか「ケモカイン」とか、そんな名前の情報伝達物質が身体の中に存在しますので、それと同じような意味ですね。実際のところは肝臓から分泌されるホルモンで、血液を介して全身でさまざまな作用を発揮するものを総称してヘパトカインと呼びます。

ヘパトカインはどんな働きがあるかというと、骨格筋に対して働くということです。ただし、あまり良い話ではなさそうです。というのも、骨格筋に対して作用することで運動による効果を帳消しにしてしまうという、「運動抵抗性」という病態(?)を引き起こすらしいんです。

運動抵抗性、こんな名前は始めて聞きました。運動抵抗性というのは運動しても効果が現れにくいという意味で、決して運動すること自体に抵抗があるような思考に導くという意味ではありません。ヘパトカインについて書かれた論文によっては、運動の効果を無効にするという表現をしているモノもありました。

運動は面倒だとか億劫だとかいった気持ちは横に置いておくとして、同じ運動をしてもその効果に個人差が出るということは、誰もが経験していますよね。運動の効果が自分だけ少ないと感じたとしたら、せっかく頑張って運動したのにってちょっと悔しい気持ちになります。その理由の全てではないかもしれないとしても、ヘパトカインというホルモンの影響でそうなっていたのであれば、なんか腹立つって思いませんか。

このへパトカインにはいくつかの種類があるそうですが、その中の一つである「セレノプロテインP」という名前のモノに、今注目が集まっています。せっかく頑張って運動をしても、それが帳消しになってしまうなんて、ちょっと(かなり?)悔しいと思いませんか。これを文献的には運動抵抗性と表現されていました。

せっかく運動をしてもその効果が現れにくいとか、とても効率が悪くて運動をしてもしなくてもさほど変わらないとか、そんな意味です。決して、運動することがヤダというような抵抗性(?)を指しているわけではありません。文献的には「運動抵抗性」と呼ぶことを提唱しているということでした。

運動抵抗性があるという事は、運動してもその効果が十分には得られないという事ですから、このセレノプトレインPの量が多いと、運動をしていないのと大して変わらないことになります。

身体活動量とは運動量のことですから、セレノプロテインPの血中濃度が多いという事は身体活動量が少ないという事になってしまいます。それはそのまま生活習慣病を引き起こす要因に直結します。例えば肥満、2型糖尿病、脂肪肝、高血圧などですね。

実際にマウスの実験などが行われています。セレノプロテインPの血中濃度が高いと運動療法にも支障をきたします。ですから、そんな困った効果を抑制するような薬が求められます。セレノプロテインPを抑制することで運動抵抗性を抑制する、つまり運動したらしただけの効果がキチンと出るようにするということですね。

なんともややこしい話ですが、セレノプロテインPを抑制することが出来れば、生活習慣病で困っている人に喜ばれるでしょう。


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