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30、副甲状腺のホルモンの話

副甲状腺って、聞いたことがありますか?

いきなり質問から入ってしまいましたが、あまり聞き慣れない名前かもしれません。副甲状腺は上皮小体ともよばれていますが、だからと言って甲状腺と何か関わりがあるかというと、別にそういうわけでもありません。人によっては上皮小体と言った方が分かりやすいという方もいるでしょう。それでは副甲状腺って、いったい何でしょう。甲状腺の近くにありそうだという事は分かるのですが。

副甲状腺の大きさはおよそ米粒サイズといった、非常に小さな臓器です。これだけ小さいと、臓器と言われてもピンと来ませんね。これが甲状腺の辺りに左右2対、合計で4個存在しています。

小さいとは言っても、副甲状腺だって臓器です。しかも、ちゃんと内分泌をする臓器としてホルモンを産生して分泌しています。体の調節を行なうのがホルモンですから、ホルモンを分泌する臓器に大きいも小さいも関係ありません。

では副甲状腺から分泌されるホルモン(業界(?)ではPTHと称しています)にはどんな働きがあるかというと、カルシウムの調節に関わっています。調節といっても、副甲状腺ホルモンは血液中のカルシウム濃度を上昇させるように働きます。

人体の中でカルシウムが多い場所と言えば、骨ですね。ですから、カルシウムの血中濃度を上げるということは、骨からカルシウムを血液中に出させるということです。他には消化管からカルシウムの取り込み(吸収)を促したりする方法で、血液中のカルシウム濃度を上昇させます。腎臓でもカルシウムの吸収は行われます。どういう事かというと、腎臓は体内の老廃物を体外に出す働きがありますが、カルシウムも余分な量は体外に排出されます。それを抑制して再吸収する量を増やすことで、血液中の濃度を確保しようというものです。

このカルシウム、一般には人体の中の硬い部分に多いという認識があるかと思います。骨や歯がそのよい例ですね。ですが、じつはカルシウムっていろいろな所で必要不可欠なモノなんです。例えば、血液が固まるときには凝固因子の一つになっているくらいですから、絶対に必要です。また、全身の筋肉が収縮してきちんと動くためにも、カルシウムが必要です。不足するとけいれんを起こしたりもします。

さて、副甲状腺ホルモンがカルシウムの血中濃度を上げるという働きがある一方で、カルシウム自体も副甲状腺ホルモンの分泌に関わっているという事実もあります。カルシウムの血中濃度が下がると副甲状腺ホルモンの分泌を促して、カルシウムの血中濃度を上げようとします。反対にカルシウムの血中濃度が高くなってくると副甲状腺ホルモンの分泌を抑制して、血中カルシウム濃度を下げるように働きかけます。こんな調節機能が備わっているんですね。

カルシウムの血中濃度を見る時には、絶対に忘れてはいけないことがあります。それは、どんな単位で数値が記載されているかという事です。カルシウムの表現に使われる単位には、mg/dlとmEq/lの2種類があって、施設ごとにどちらかを使っています。次第に統一されてきているようですが、数値が2倍違ってきますので、注意が必要です。

こんな落とし穴まであるんです。


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