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卵たん白

今回取り上げるものは「卵たん白」というものです。卵はたんぱく質が豊富に含まれているという事はご存じですよね。次世代の身体を作るための材料や設計図である遺伝子やらが入っていますので、必要なたんぱく質が揃っています。これは、必要なアミノ酸がバランスよく含まれているという事と同時に、栄養的に見て非常に優れた点でもあります。昔は滋養強壮剤のような扱いでもあったそうですが、今もよく食べられている食品ですね。

一般的な卵と言えば鶏卵あたりでしょう。ザックリとした重量比では、殻の部分がおよそ1割ほど、卵黄が3割くらい、卵白が残りの6割程度となっています。卵にもいろいろと種類がありますが、だいたいこのような割合になるそうです。

さて、食品添加物としての卵たん白とは何者かという事ですが、卵たん白は通常の卵白(鶏卵の白身の部分)を乾燥させたものということです。でも、わざわざ添加しなくても、私たちは普段からそのまま食べています。ですから、食品添加物というよりも食品の素材そのものといったイメージの方が強いというのが一般的な意見でしょう。とはいっても添加物として使用しているのですから、それなりの理由があるはずです。「その理由ってなんだ?」ということになりますね。

よく用いられる食品として、ハムやソーセージなどが挙げられますが、これ等に使用する場合は素材の肉同士のつなぎといった役割で添加されているのだそうです。たしかに、卵に限りませんがたんぱく質は加熱すると固まる性質がありますよね。加えてもう一つ、水分を蓄える性質があるんです。こういった働きがあって、食品のまとまりをよくする、そんな性質も持っています。これを利用するわけですね。先に挙げたハムやソーセージはもちろんの事、麺類やかまぼこなどにも使われています。

卵で問題になるのは「アレルギー」でしょうか。アレルギーが無い人からすればピンと来ないものかもしれませんが、アレルギーがある人だと最悪の場合、その人の生命にも関わりかねない重大な問題を引き起こすことがあります。まさに、死活問題ですね。

そうなると、加工食品自体は特に問題がなかったとしても、添加されている卵たん白でアウトということだって起きるかもしれません。先に挙げたハムやソーセージの肉自体ではアレルギーを起こすことが無かったとしても、同じような理由で食べてはいけない食品になるかもしれません。これはツラい。

最近、こんなニュースを見かけました。鶏卵アレルギーの原因物質の一つにオボムコイドというものがあるのですが、これを除去した卵を作ることに成功したという話題でした。遺伝子情報の編集技術を使ってオボムコイドを含まない鶏卵が開発されたというものです。しかも、この状態の鶏卵から孵化して生まれたニワトリを交配して生まれた卵にもオボムコイドは含まないのだとか。さらに、遺伝子情報に問題が無いかどうかを確認しても、特に異常は見られなかったと言います。これがもし実用化されたら、食品としてのアレルギーの一つが軽減することになるかもしれません。もちろん、そのための調査研究を行わなければなりませんが、期待が持てそうな話ですね。

卵アレルギーのもう一つの問題は、ワクチンの開発のところにあります。昨今のコロナ禍などで、いろいろな意味でワクチンの名前が有名になっていますが、従来からインフルエンザワクチンなどが利用されてきていたのは事実ですね。この時、ワクチンを作るためには鶏卵が必要になります。鶏卵にウイルスを接種して増殖させるというものですが、そのあとワクチンとして使用するときにはキチンと精製して、鶏卵の影響が残らないようにするのですが、それでも万が一という事がありますので、卵アレルギーの人はインフルエンザワクチンの接種を見送るということが頻繁に行われてきました。ひょっとしたら、この問題も回避できるようになるかもしれません。

いいことずくめのようですが、何しろ遺伝子を編集しているわけですから、実験室だけの話ではありません。実用化された場合、遺伝子操作をした卵という事になると、買おうという手も躊躇することになるかもしれません。特殊な事情の時に活躍する鶏卵、そんな位置づけになるかもしれません。

期待したいような、ちょっと怖いような、複雑な気持ちになる話題でした。


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