04、コルチゾールの話
感染関連の話に区切りがついたので、今回から別の話題を取り上げていくことにします。ただ、同じグループの話が続くと飽きてくるかもしれませんので、時々別の話題を織り交ぜたりしようと考えています。さて、内分泌の話が半年ほど止まっていたので、しばらくはこの話題を・・・。
副腎皮質から分泌される
コルチゾールは名前が良く知られているホルモンの一つです。ステロイドホルモンの一つとしても知られていますが、最近はストレスホルモンとしての側面が良く知られるようになりました。そんないくつかの顔を持つコルチゾールですが、意外に知られていない面もありますので、書いていきたいと思います。
まず、何処から分泌されるかという話ですが、その場所は副腎という臓器の皮質という場所で合成されて血液中に放出されます。副腎というのは腎臓の上に乗っかったような場所にあって小さな三角形の形をしています。名前からすると腎臓のお手伝いでもするのかと勘違いするかもしれませんが、腎臓とはとくに関係があるわけではありません。そのため、腎上体と呼ばれることもあります。
副腎はさほど大きな臓器ではなくて、3~4センチメートルくらいで内分泌に特化しています。中の構造は中心部の髄質と周辺部の皮質の二つに分かれます。コルチゾールは皮質から分泌されます。
コルチゾールは昔から緊張感だとか怒りだとか、とにかくストレスに関わることが知られていたようですね。こんな話がありました。昔、とても怒りっぽいことで有名な解剖学の教授がいらして、よく後輩たちに雷を落としたというエピソードをいくつもお持ちの方がいました。その方が亡くなられたので生前のご希望によりご遺体を解剖したところ、副腎の大きさが一般的な人に比べて3倍ほど大きかったんだとか。解剖を担当した後輩の方が「やっぱり・・・」と言ったとか言わなかったとか・・・。
それはともかく、それほど昔からコルチゾールはストレスや緊張感との関係が知られていたんですね。
ステロイドホルモン
さて、最初にコルチゾールがステロイドホルモンの一つであると書きました。これは分子構造にステロイド骨核と呼ばれる構造を持っているという意味です。同時にグループの名前でもありますので、これはコルチゾール以外にも存在するという意味でもあります。実際のところ副腎皮質から分泌されるホルモンはすべてステロイドホルモンですし、生殖腺で合成されるホルモンもステロイドホルモンの一種です。
これらの合成に深く関わっているのがコレステロールなんですが、「えっ!」と思うかもしれませんね。じつはコレステロールがステロイドホルモンの材料になるんです。コレステロールは全部悪者と考えていませんか。口から食べ物として摂取しているコレステロールは一日当り0.8グラム前後ですが、その2倍くらいの量が体の中で毎日合成されているんです。
コレステロールは人間の身体にとって必要不可欠なものです。例えば細胞膜の重要な成分ですし、胆汁を合成するうえでも不可欠な物質です。それに加えて、コルチゾールなどの様々な(ステロイド)ホルモンの材料として用いられているんです。ですから、コレステロールも実は結構忙しい物質なのかもしれません。
肝心の働きについては次回に譲ることにします。