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薬剤性で起こる肝機能障害の話
なぜ薬が?
ちょっと信じがたいという人がいるかもしれませんが、使った薬によって肝臓に炎症が起こる、そんな病態を指します。なぜ薬が? そう思うかもしれませんね。本来なら薬は身体の不具合を治し、不足している成分を補ったり、より健やかにしたり、そんな働きがあるわけですし、またその働きを期待して用いるのですから、それがかえって自分に何か変な働きをしてくる、むしろ害になる方向に働いてくるということになると、これは困るわけです。
では、なぜそんな肝臓に炎症を起こすようなことが起こるのか。理由は大きく分けて二つあります。一つは「中毒性」で、薬自体、あるいは薬を代謝していく過程でできる物質によって害をもたらすというもの。もう一つは「体質特異性」と呼ばれるもので、言い換えるとアレルギー反応のようなものです。
中毒性とは
薬の成分や代謝によって生じる代謝産物によって、直接肝臓が攻撃を受けるといったイメージです。通常、薬は安全性に配慮して作られ、いろいろな試験をして安全性を確認したうえで販売されます。用法用量を守って使えば安全なはずなのですが、どうにもそういかない時があるようですね。必要に応じて、あるいは必要に感じて、薬の数をどんどん増やして服用していくとどうなるでしょうか。
一つ一つの用法用量はきちんと守っていたとしても、たくさんの薬が体に入ってくると夫々の間で相互作用が生じることがあります。また、代謝産物もたくさん出来ますから、肝臓はそれらも処理しなければなりません。それだけでも大変なのに、そこに直接攻撃を仕掛けてくる薬物が出てきたら、肝臓が炎症を起こすのも納得できるのではないでしょうか。飲む量が多くなれば、それだけリスクが増えるという事ですね。ただ、そんな例はわずかで、ほとんどは体質特異性によって引き起こされます。
体質特異性とは
こちらは服用した量に関わらず起きるものです。服用した人によって起きたり起きなかったりするものなので、再現することが困難です。まして動物実験をしても、なかなか再現できません。そして、予測が困難な所が難しいとされています。そして、どのような薬でも起きる可能性があります。
特に抗生物質や抗がん剤、その他の様々な薬で起きるようですが、サプリメントや健康食品、民間治療薬といった場合も、引き起こされる可能性があります。漢方薬で起こる例も報告されているとのことので注意が必要なのですが、なにを注意すればよいのか、この辺りはよく分かりません。まず少量使ってみて、自分に合わないと感じたらすぐに服用を中止するといったことくらいでしょうか。
診断と治療はどうするか
何か特徴的な自覚症状でもあれば分かりやすいのですが、特にそのようなものはありません。人によっては発疹ができたり、体がかゆくなったりする等があるかもしれませんが、症状として出てくるまでの期間も人によって異なります。
何よりも、まず何か自分で異変を感じたら、すぐにその薬の使用を止める事が大切です。問題の薬物が体から自然に抜けていきますので、これだけでも状態が良くなる例が多くみられます。ただ、素人判断は禁物、医療機関を受診して、気が付かないところで体に異変をきたしていないかなど、相談してみるとよいでしょう。
診断をつけるためには、いくつか検査を行う必要があります。前提として危険因子と呼ばれる条件がいくつか存在していて、下記のようなものです。
・18歳以上 ・肥満 ・妊娠 ・飲酒 ・遺伝的要因
これらを加味したうえでとなりますが、肝臓の炎症なので肝機能が低下しています。この辺りは血液を調べることで判断します。
医療機関を受診している方は、お薬手帳をお持ちですね。どの時期に、どこの医療機関で、どのような薬を用いたことがあるかが分かりますので、お薬手帳を活用することをお勧めします。