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虚血性心疾患の検査の話

体の中の臓器や組織の様子を見るためには、いろいろな検査を行う必要があります。一般に臓器や組織の検査方法については、先ずスクリーニング(ふるい分け)検査を行なってある程度絞り込んだうえで、更に検査を進めていくという流れになっていきます。心臓の場合は他の臓器と異なり、常に動いているという状態ですから、その動き方も一緒に観察しなければなりません。この点は他の臓器や組織と大きく異なるところです。

心電図検査

心電図検査は、その名前を知らない人はおそらくいないでしょう。医療機関を受診した時にも、何か胸部の事を伝えると主治医から「では、心電図検査をしておきましょう」といった具合に行なわれたりします。また、健康診断や人間ドックなどでは必須ともいえる検査ですし、もし医療機関に入院することになった時には、入院時のスクリーニング検査として、こちらもほぼ必ず検査を行うものです。

心電図検査は心臓の電気現象の様子を体の表面から観察し、電気現象を波形として表現して記録する検査方法です。いくつかの波形が組み合わさった形になっていますが、この形は疾患によっていろいろと変化していきますので、そこから体の状態を読み解いていくことで、いろいろと診療に役立つ情報を得ることが出来ます。

心臓超音波検査

心エコー検査とも呼ばれて、医療機関ではこちらもよく行われる検査の一つです。体の表面から超音波を当てて、リアルタイムで心臓の動きを観察することができるという検査で、放射線を用いないという意味では、被爆しなくて済むといった利点もあります。医療の現場では、手軽に行われる検査の一つとなっています。

心臓の断面図を画面に出した状態で動きを観察するので、壁などの動きが悪い場所や弁の閉じ方などの動きなども、一緒に観察することができます。麻酔なども不要なので、患者さんとコミュニケーションを取りながら検査を進めることができます。そんな時の会話から、時には検査を行う上でとても重要な情報を得られることもあります。

運動負荷心電図

通常の心電図は、被検者(患者さん)にはベッド上で安静にしていただいて検査を行ないますが、運動負荷心電図はその名の通り、特定の運動をしていただくことで心電図検査を行ないます。かつては表彰台のような階段を使ったマスター負荷心電図といった検査が行われましたが、これは手軽に行われる反面、運動中の患者さんの状態がモニターできないという問題も抱えていました。現在はほぼ行われていないでしょう。代わりに、エルゴメーター(自転車型でペダルをこぐ運動を行なう)や、トレッドミル(速度や傾斜の角度を変えることができる坂道を歩く運動を行なう)といった方法を用いる機会が増えています。

運動をしていただいている間、そして運動が終了した後の回復時の様子を、心電図として観察します。足腰が弱っている場合、足が不自由な患者さんでは、この検査を行なうことはできません。

ホルター心電図

携帯できるように小型化した心電計を体に装着した状態で、普段と同じように24時間過ごしていただき、その間ずっと心電図を記録しておくという検査です。狭心症では胸痛の発作が数分程度で治まってしまうため、なかなか判断が難しいことが多いと聞きますが、24時間連続で心電図を記録していれば、どのようなタイミングで胸痛発作が起きるかを調べることができます。自覚症状がない場合の狭心症でも、この検査を行なうことで状態を知ることができるという利点があります。ただ、この検査を行なっている間は入浴が出来ないとか、冬でも電気毛布の仕様が制限されるといった面も持っています。

心臓核医学検査

「核」という文字がつくので驚かれたかもしれません。ごく微量の放射線を発生する薬品を使いますが、これは半日程度で消失してしまうほど少ないということなので、人体への影響はありません。
放射線を検出するカメラを使って、投与した薬品がどのように動いているかを観察するのですが、これによって心臓の筋肉の動きや障害の様子などが分かります。

核医学検査と呼ばれる検査の中には、さまざまな種類の方法が含まれています。この点は機微な話になっていくので、割愛します。

血液の検査

じつは血液を調べても、いくらかの情報が得られることがあります。心臓は筋肉で出来ていますので、からだを動かす骨格筋と同じような成分も多数含まれています。そういった物質や、心筋特有の物質を分析するといったことで、心筋梗塞の様子を観察することもあるのですが、あくまで補助的に行われているのが現実のようです。

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