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臨床検査とは何か

今回から新しいシリーズもスタートさせようと思います。しばらくは、医療機関で行われる臨床検査について取り上げていくことにします。この分野の仕事は分析装置などの機器を必要とする内容のものが多いので、医療機関の規模によって院内で処理できるものや外部委託するものなど、検査項目の扱い方が変わってきます。そういったことも踏まえて、どんな検査項目があって、どのような注意事項が必要かなどについて書いていくことにします。

まず、臨床検査という言葉を使いました。これは「患者さんの身体に対して直接、あるいは身体から採取したもの(検体と呼びます)を使って患者さんの状態を調べるための検査の総称と捉えていただくとよいでしょう。医療機関を訪れる患者さんは何らかの不具合があって受診しているわけですから、まずはその状態を確認しないといけませんよね。場合にもよりますが、症状として訴える痛みと身体で起きている問題の原因が全然違うところにあることだってあるわけなので、キチンとそれを突き止めるところから始まります。昔の占いのキャッチコピーのように「黙って座ればピタリと当たる」というようなことは出来ません。根拠が必要ですから、キチンと患者さんのお話を聴いて検査も行う必要があるわけです。

かつては「検査漬け」といった言葉を耳にしたことがある人も多いと思いますが、患者さんにとっては無駄と思えるような例でも、キチンと確認をして大丈夫という判断を下すために必要な場合もありますので、この分野の仕事をしていた者の一人としては、良い気持ちの言葉ではありませんでした。

患者さんの芳しくない状態を治すために、医師は治療を行います。その過程で同じ検査項目を何度も繰り返して行う事が出て来ますが、これにもいろいろな目的があっての事です。例えば、医療機関を受診した患者さんが最初に行う検査の内容と、人間ドックや健康診断で行われる検査の内容がまったく同じだったとしても、その目的には違いがあります。「今の身体の状態を調べる」という点では同じかもしれませんが、人間ドックや健康診断の場合は「健康な状態である事の確認」といった意味で受ける人が多いのではないでしょうか。それに対して医療機関を受診した人の場合は「身体の不具合の原因を調べる」とか、「病気の診断のため」とか、状態を知って治療に進むために行うという事になります。また、治療を行っている医師が、患者さんの今の状態を確認しておくために定期的に何度か検査を行う場合もあります。

こういった情報が不可欠なので、臨床検査を行うわけですね。具体的な内容については、順に書き進めていくことにします。

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