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29、アントシアニンの話

今回はアントシアニンを取り上げます。「ブルーベリーにはアントシアニンが含まれているから目に良い」というような話を聞いたことはありませんか。でも、これを言った当人もアントシアニンがなぜ目に良いのかが分かっていたのでしょうか。ただの受け売りにならないよう、ちょっと調べてみました。


アントシアニンとはどんなものか

植物は室内におくと、太陽の光が不足してうまく育たないことがあります。かといって外に出せば太陽の光をいっぱいに浴びることが出来るのですが、植物によってはこの紫外線があまり良くないのか、身を守る手段が必要になる場合があります。その手段として働くのがアントシアニンなんです。

アントシアニンは青紫色の色素で、天然のものです。植物が自身を守るために作り出した色素ですが、守る対象はなにも紫外線だけではありません。ウイルスなどに対してもアントシアニンは効果があります。

今取り上げているものフィトケミカルの中のポリフェノールのグループで、ポリフェノールといえば抗酸化作用すから、アントシアニンも同様にしっかりと抗酸化作用を持っている色素です。どんな食材に含まれているかというと、色彩が濃いモノ(青紫、黒、赤など)と捉えればよいようですね。

アントシアニンの働き

視覚機能を改善する

ものを見た時、それを信号に変えて脳に伝えます。そして能がそれを判断して認識することで、ものを見たということになるのですが、その信号を脳に伝える役目を果たすのは「ロドプシン」というたんぱく質です。このロドプシン、光によって分解される性質があるために再合成されます。そして信号を伝えて分解される、これを何度も繰り返すといったことを行ないます。

長時間本を読んだりすると目がくたびれて来ませんか。これはロドプシンの再合成がつかれて来るのか、間に合わなくなることで生じます。アントシアニンはこのロドプシンの再合成に関わって促進するはたらきがあります。これが目に良いといわれる所以です。

眼病を予防する

白内障や緑内障を予防する

先ずは白内障の方から。白内障とは、目の水晶体(たんぱく質で出来ている)が白く濁ってしまって視力が低下してしまう病気です。

​水晶体は光の通り道ですから、紫外線が通ることで酸化のダメージを受けやすい部分です。
​アントシアニンは抗酸化力がありますので、水晶体を紫外線ダメージから守るさようがあります。これによって、白内障の予防に繋がります。

次は緑内障に対してです。

緑内障とは、眼圧が高くなって視神経が圧迫されてしまう、あるいは眼圧が正常でも視神経が酸化ストレスによって傷付き、弱ってしまうためことなどが原因で、視野や視力が損なわれてしまう病気です。

酸化ストレスは、日頃の行い(喫煙や栄養不足をはじめとする生活習慣)や、紫外線によるダメージが原因で発生しますが、アントシアニンの持つ抗酸化力は、この酸化ストレスを抑えることで緑内障が予防できるとされています。​

メタボリックシンドロームを予防する効果

​メタボリックシンドロームは内臓脂肪症候群とも呼ばれていて、​食生活の乱れや運動不足のような生活習慣によって高血糖・高血圧・糖尿病・動脈硬化などが引き起こされます。​アントシアニンにはメタボリックシンドロームへの予防効果があるのではないかという研究が発表されています。

マウスの実験では、アントシアニンを混ぜた高脂肪のエサを与えると脂肪の合成が低下する・内臓脂肪や血液中の脂肪の蓄積が抑えられる、また血糖値の上昇が抑えられるという結果が得られたということです。

​さらに、血圧の上昇を抑える効果があるとか、動脈硬化を抑える効果があるといった報告もされています。

花粉症を予防する効果

アントシアニンは、花粉症に対する働きや効果があることも明らかになってきています。

花粉症の症状といえば、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどですよね。​このときに「ヒスタミン」という物質が出てきます。​このヒスタミンが花粉を洗い流そうとして、くしゃみ・鼻水・目のかゆみなどの花粉症の症状が起こるという仕組みがあるんです。

アントシアニンには、このヒスタミンを減少させる働きがあります。これもまたマウスの実験なのですが、​花粉症のマウスに、普通のエサとアントシアニンが含まれるエサをそれぞれ与えたところ、普通のエサのマウスに比べてアントシアニンを含むエサのマウスはヒスタミンの量が60パーセントも減少していたのだとか。これは驚きです。

​このことから、花粉症を予防する効果も期待されています。

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