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02、胃の話

ピロリ菌の居場所

ピロリ菌が見つかった場所がそのままピロリ菌のいる場所になるのですが、その場所は前回書いた通り胃の出口(幽門)のあたりでしたね。では、何故この辺りにいるのでしょうか。理由について学んだわけではありませんので、正確なところは分かりません。おそらくこの辺りが一番過ごしやすいのではないかと考えます。

この場所(つまり胃の出口付近)は、常に、胃の内容物に触れている場所です。ということは、自分の代謝に必要な栄養が途切れることは無いということを意味します。

胃は、それ自体がとてもよく動く臓器です。食べた物(つまり胃の内容物)と胃の分泌物(3つ存在する)とがよく混ざるために、本当によく動く臓器です。

胃液の成分

ここで胃液の成分について触れておきます。なぜなら、これがピロリ菌の大きな特徴に関わることでもあるからです。

胃液の成分というと3つが知られています。
①胃酸:強い塩酸でpHでいえば1~2くらいといわれています。そのまま触ると、手が焼けてただれてしまいます。食べた物の殺菌や消毒の役目があるのですが、 よく自分の胃が焼けてしまわないねなんて、心配してしまう人がいますが、胃の表面を保護する役割は別の成分が担っています。

メンタルが特に強い人を指して、冗談で「あの人の胃はステンレス製」なんて言ったり、心臓に毛(またはトゲや釘)が生えていると表現したりすることもありますが(ありません)、あくまでこれは冗談です。

②ペプシン:たんぱく質の分解酵素、正しくはペプシノーゲンと呼ばれています。分泌された状態ではたんぱく質の分解作用はありませんが、先に挙げた胃酸(塩酸)によって多少分解されて、たんぱく質を分解する働きを持つようになります。
例えて言うと、ペプシノーゲンはキャップをした鉛筆の状態で、塩酸に触れてキャップが外れると、字を書く機能を発揮することが出来るようになる、というわけです。(かえって分かりにくくなったでしょうか・・・)

③粘液:胃の表面を護る役割があります。胃酸はとても強いので、そのままでは胃の内側が焼けただれてしまいます。加えて、ペプシノーゲンがペプシンに変化したら、胃の表面まで分解してしまいます。粘液はこれらを防ぐ役割を担っています。粘液は胃の内側の表面をしっかりと覆って保護する役割ですから、これはとても重要なものですね。

因みに、ストレスになると胃の分泌物のバランスが崩れてきます。すると
1、ストレスによって、まず胃の粘膜(胃の表面)の抵抗力が低下します。
2、次いで、粘液の分泌量が減少します。
3、これによって、胃の内側の防御力が下がってしまいます。
4、反対に、胃酸の分泌量は増えてしまいます。
5、手薄になっている胃の抵抗力より、胃酸の攻撃の方が強くなります。
6、このために、炎症や潰瘍が出来てきます。

これによって胃はボロボロになって、胃潰瘍に進む、こんな流れができあがってしまいます。怖い話ですね。


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