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「北浦兄弟」ワールドプレミア大成功の巻
11月22日金曜日 雪
暦上で小雪の今日、今朝はタリンでも雪が降っている。屋外での散歩は難しいので大学のジムに行き、トレッドミルの上で走ったり歩いたりする。アップルウォッチの心拍数が140を切ったら走り出し、150を超えたら歩く。それを40分ほどやって今日の朝の運動にする。トマトジュースで水分補給しシャワーを浴びて朝のルーチンが終わる。さあ、今日もスケジュールがぎっしり、一部ダブルブッキングだ。
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午前中に溜まっている洗濯物を片付ける。その後、ヨーグルトで簡単な昼ごはん。その後は午後12時15分からの「グローバル教育史」の授業に出る。今日のテーマは「モダン主義・ポストモダン主義の教育における影響」を学び、グループで議論する。ざっくり言うと、モダン主義は教育の普遍性・標準化・教師主導の考え方に基づいてカリキュラム主体の教育機会を万人に与え、ポストモダン主義は「教育は複雑で流動的」という考え方から教師や学校が独自性・多様性を活かし学習者中心の教育を行うと言うもの。僕はどちらかというとモダン主義に実用性を感じるが、最近の教育理論ではポストモダニズム的な考え方が主流になってきているらしい。だが、「近い将来、モダン主義とポストモダン主義を統合する形でAIが教育を改革する」というのが僕の主張だ。この意見を僕が説明し終わったあたりでタイムアップ、次の用事に行くために残念だが僕は早退する。授業はこの後、午後4時近くまで続いたらしい。
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午後3時にキャンパスを出て、もう最近馴染みになっている職場、ノルディックホテルフォーラムに向かう。3時20分に映画「北浦兄弟」の辻野監督とプロデューサー兼主演の中野さんと合流。3時半から彼らのPÖFF TVのインタビューを通訳としてサポートする。PÖFFはブラックナイト映画祭のエストニア語読みの略語で、期間中はPÖFF TVが映画祭関連の画像をずっと流している。今日のインタビューもそこで使われるものだ。僕はすでに映画「岡本万太」の真田監督、「Black Gold」の杉本監督のインタビューをサポートしてきたのでもう慣れたものだ。インタビュー会場の屋外特設ブースに行くとインタビューの段取り担当者から「やあ、また君か。実は今年のPÖFF TVの最初のインタビューが君たちで、それから何日かずっとインタビューを続けてきて、今日がその最終日、君たちの後に一件インタビューすれば今年のPÖFF TVは完了するんだ。最初から最後まで君と仕事してきた感じがするよ」と言われたのが感慨深い。辻野監督と中野プロデューサーのインタビューでは二人のプロフィールやこの映画の生い立ちなどが明らかになり、大変面白く勉強になった。
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インタビューの後は二人と、旧市街のKompressorにパンケーキを食べに行く。午後5時の旧市街はもう真っ暗。だが、今日から旧市街中程の市庁舎広場でクリスマスマーケットが始まるので、人混みで賑やか、ライティングが美しい。
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コンプレッサーに着くと、タイミング良くすぐに空いているテーブルが見つかった。いつもは20−30分ほど待たされるので、今日が運が良い。3人でそれぞれ一つずつでかい(甘くない)パンケーキを頼み、ビールやソフトドリンクを飲みながら夕食をいただく。食事の後はまた市庁舎広場に戻ると、クリスマスマーケットのオープニンイベントが始まっていた。みんな巨大なクリスマスツリーとステージのミュージックパフォーマンスを見にきている。すごい人混みの中をかき分けかき分け、進む。
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市庁舎広場からノルディックホテルフォーラムまで歩いて8分。ホテルに帰る前に隣のスーパーマーケットRimiにKalevのチョコレートを買いに行く。エストニア土産と言えばKalevのチョコレートというくらいポピュラーなお菓子で、Rimiで買うとさらに安い。買い物を終えて、辻野監督と中野プロデューサーは着替えに行く。次の仕事が今日のメインイベント、二人の映画、「北浦兄弟」のワールドプレミア(世界初上映会)だ。タキシードに着替えた中野さんとラフなジャケットの辻野監督を連れてホテルの隣のコカコーラプラザ映画館へ。館内のポスターは全て北浦兄弟のポスターに替わっている。レッドカーペットならぬブラックカーペットを歩き、写真撮影の場所まで行くと、今日の上映会のキュレイター(いわゆる上映担当マネジャー)のニッキと映画祭総ディレクターのティナ(今回のブラックナイト映画祭で一番偉い人)が待っていた。この二人が北浦兄弟チームの二人と写真を撮るのをサポートして、その後2階の楽屋へ行く。ここでビールやカクテルを飲みながら時間調整をする。午後7時50分、さあ上映時間10分前になった。みんなで6番ホールSAALシアターに移動する。
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まず、ニッキの「日本のヒッチコック」との紹介で辻野さんが挨拶し、僕が通訳する。そして主演の中野さんの挨拶、これも一言だけ通訳して、ニッキの「今日はみんな内気なエストニア人だが、思いっきり笑ってください」との挨拶でワールドプレミア上映が始まった。僕も北浦兄弟の本編を見るのはこれが最初(で実は最後)だったが、いや、実際に面白かった。何回も声を上げて笑ったし、隣に座る中野さんに「えっ」と声をかけてしまった。観客のエストニア人も大体同じタイミングでウケていた。映画が終わってエンドロールを短めに打ち切り、Q&Aに入る。内気なエストニア人から活発な質問がいくつも来る。僕が通訳したが、辻野監督も中野プロデューサーも、そして観客の皆さんもノリノリだ。時間が押してきたのでもう外に出ないとヤバいという時間ギリギリまで皆んなから質問、挨拶、それに祝福を浴び続けた。今日のスクリーニング、大成功だった。
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上映会場のコカコーラプラザから隣接するホテルに戻り、制作チームのお二人は気楽な服装に着替えて、3人で凱旋パーティに繰り出す。最初は旧市街にあるHouse 10というクラブの一階でワインをボトルで頼み祝杯をあげる。その後は2階のカラオケルームに連れて行かれ、満員御礼の映画関係者の前で「上を向いて歩こう」を歌った。で、二次会では旧市街で最もお洒落なクラブ、モニュメントでさらに飲み続けた。もう皆んなから「プレミアスクリーニング大成功、おめでとう」と僕まで言われた。興奮冷めやらない僕たち3人はそこから別途三次会に、馴染みのパブ、Shimoに行って感想や反応やこれからのプランや賞レースの行方など、取り留めない話で午前2時まで夢中だった。
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明日(いやもう今日だ)も夕方にはアワードセレモニーがある。お二人は午前中は暇だ、というのでじゃあ一緒に昼ごはんを食べることにする。ホテルまで一緒に帰って、そこから大学寮に戻ったらもう午前3時近かった。これでやっと怒涛の北浦兄弟ワールドプレミアの日が終わった。すごく楽しかった。
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