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早朝ランドリーから墓地のナイトハイクまで、長い木曜日の一日
11月4日木曜日 曇り
昨日早くにベッドに入って今朝は早起きし、午前3時にたまっている洗濯物を持ってランドリールームに行く。流石にこの時間だとランドリーマシンも空いている。許容量の8kgいっぱいの洗濯物を洗濯機に入れ、1時間半のコースでまわす。部屋に戻って時間をつぶし、5時ごろに戻ってきて乾燥機2台を使って乾かす。また部屋に戻って2時間ほど寝てからランドリールームに戻ると、洗濯物はしっかり乾いていた。取り込んで部屋に戻る。
今日は寝不足だし、昨日のジョギングで筋肉も疲れているので、散歩を休む。木曜日は部屋のクリーニングが入る日なので、とにかくシャワーを浴びて10時前に部屋を出る。10時15分からはGlobal Educational Change(“世界の教育の変遷“)の授業に出る。エルス先生の今日の講義テーマはエストニア教育の近代史。1991年のソビエト連邦からの再独立以降、この国では大胆な教育改革が進められてきて、その結果としての経済発展やデジタル社会の構築をみんな大いに誇りに思っている。
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少人数で議論中心のこの授業は大変面白い。それだけに残念で申し訳ないのだが、僕は午前11時過ぎに早退して、タリンブラックナイト映画祭関係の仕事に向かう。11時半からドキュメンタリー映画、ブラックゴールドの杉本監督のPÖFF
TVのインタビューに立ち会うのだ。監督とエージェントのセリーナとホテルで待ち合わせ、屋外のブースに向かう。インタビューの段取り担当者は僕のBFM合唱団で一緒のアリナだった。彼女に「僕は大声を出し過ぎていますか?」と訊くと、「いや、あなたは自分で何をやっているかわかっている感じがする。」との回答。え、他の皆んなはわかってないの?我々の合唱団の未来に一抹の不安を覚えた。
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杉本監督のBlack Gold撮影秘話は興味深く、インタビューは大成功だった。僕は午後のインタビューまでに戻ると伝え、大学の授業に戻る。
結局Global Educationa Changeの授業は午後2時近くまで続いた。授業後はいったん解散し、僕は大学寮に戻る。午後4時に再びNordic Hoetl Forumに戻り、今度はドイツ人ジャーナリスト、リダが杉本監督をインタビューするのに同席する。監督は映画に白黒の画像を使ったことやごくごく短いキャプションを挿入したことに関して、「俳句」の概念を使って説明していた。リダは俳句って知っているのかな、と少し心配した。
ホテルでのインタビューに同席した後は、歩いてティーギヴェスキ公園に向かう。今日はエストニア文化講座の授業が午後6時15分からのナイトハイクで、ここが起点になる。6時過ぎに着いてみると、もう真っ暗で寒くて、しかも誰もいない。まあ、授業でいつも最初に来るのが日本人の僕だ。それからポツポツと学生が来出して、6時15分ちょうどにアルダー先生が到着。ここまで秘匿されていた今日のテーマは「エストニアの墓地散策」。この公園からすぐ近くのクレメンティ墓地まで行って、エストニア人の死に対する考え方や葬儀・埋葬の風習に関して教えてもらった。この墓地にはエストニアの著名人も数多く埋葬されている。まっ暗い中、アルダー先生の義父のお墓を探して蝋燭をつけてお参りした。
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8時過ぎまで墓地の中を彷徨って、やっとクレメンティ墓地から出てきた。と思ったら、アルダー先生が「この中でまだ元気のある有志は次の場所に墓地のハシゴに行こう」と言い出した。真っ暗だし寒いのでここで5名ほど脱落。僕もその中に入っていて、トラム駅付近で先生と元気な有志達とお別れし、4番トラムに乗って帰った。空には煌々と満月に近い月が浮かんでいた。
追記:忘れないうちに書いておくと、この日の墓地のナイトハイクで思ったのは「死後の世界ってやっぱりあるな」ということ。死ぬ、ということはそれまでの自我があって自律の状態から、それらがない状態に移るのだろう。もう考えたり行動したりする自分は無くなるが、それでも自分は人々の思い出や文書や映像などの記録には残り、それが死後の世界というものだ、と思ったのだ。例えば今でももし僕が、僕の両親は僕を見守ってくれていて、何かいいことが起きればそれは彼らのおかげだ、と思うならば、それが僕の両親の死後の世界の存在なのだろう、と思ったのだ。