【経営学を学ぶ企画】第一章その5
挨拶
予告通り、今回は監査委員会等設置会社や指名委員会等設置会社について解説になります。
監査役会の役割のまとめ
1.監査報告の作成
2.常勤監査役の選定及び解職
3.監査役の職務執行の決定
4.取締役等から報告・書類を受ける
取締役会改革と執行役員制
1990年年代までの問題点のまとめ
・業務執行とその監視の機能が分離されていない
・社外取締役が少ない
・取締役会メンバーが多かったこと
これらの問題点を解決する企業と例としてソニーがあります。
注:ソニーの改革の様子を取り上げたNHKの日本の群像再起への20年という映像作品がありますので、興味のある人は参照すると良いかもしれません。
ソニーは、取締役の数を38人から10人に削減し、新たに9人の執行役員を向かい入れた27人が執行役員にしました。7人の代表取締役は執行役員も兼務したが、監視はされる体制になりました。間もなく、ソニーのように取締役会改革と執行役員制が行われるようになりました。
執行役員制の導入目的のまとめ
1.取締役の構成員数を削減することで、取締役会の議論活性化と機能強化
2.取締役会の人数削減で意思決定を迅速化
3.業務執行機能と全社的意思決定及び業務執行に対する監視機能の分離
指名委員会等設置会社
監査設置会社と指名委員会等設置会社の違い
監査設置会社
社外取締役 2人以上を求める(強制力なし)
経営の監視 取締役会、監査役会
業務執行 取締役
業務執行の最高責任者 代表取締役
取締役会内委員会 規定なし
指名委員会等設置会社
社外取締役 2人以上選任しなければならない(強制力あり)
経営の監視 取締役会、監査委員会
業務執行 執行役
業務執行の最高責任者 代表執行役
取締役会内委員会 指名・報酬・監査の3委員会を設置
コーポレート・ガバナンス改革の法律面の略歴
1993年 商法改正 (社外取締役の義務付け)
1997年 執行役員制 (ソニー導入と大企業の追随)
2001年 商法改正 (監査役の機能強化)
(大会社の監査役は3人以上、半数は社外取締役とする)
(監査役の任期を3年から4年に変更)
2002年 商法改正 (委員会等設置会社の導入)
(委員会等設置会社は最低でも2人の社外取締役の設置が義務化)
2005年 会社法 (定款自治の拡大で経営の自由度向上)
(内部統制システムの構築と公表が義務化)
(三角合併が解禁)
注:三角合併とは、吸収合併の方式で、被合併会社(消滅会社)の株主に対し、存続会社の親会社の株式を交付する合併方式。
2014年 改正会社法(監査等委員会設置会社の導入)
(委員会設置会社の名称が指名委員会等設置会社に変更)
2015年 コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コード
コーポレートガバナンス・コード
2015年から施行された有価証券上場規定の別添が東証のすべての上場企業に適応される。基本原則として、以下のものがあります。
1.株主の権利
2.ステークホルダーとの協働
3.情報開示
4.取締役会等の責務
5.株主との対話
東証上場企業の場合、上記の抽象的な内容を具体化した73からなる原則が適応される。一方、マザーズ上場企業やJASDAQ上場企業は5つの原則にとどまります。
スチュワードシップ・コード
スチュワードシップ・コードは機関投資家が取るべき行動原則のことを指し、2010年に英国で導入された仕組みを日本版にローカライズしたのが、日本版スチュワードシップ・コードになります。機関投資家の持つ責務の明確化や責務遂行の行動指針をまとめたものになります。スチュワードシップ・コードは投資先企業の持続的成長に貢献する役割も持っています。
あとがき
今回でコーポレート・ガバナンス関連の話は一旦、終わります。次回は日本型企業システムの特徴や課題をやります。