オレゴン世界陸上における日本選手団の集団感染について考える
世界陸上の期間中に日本選手団のなかでCOVID-19が流行している。
7月21日現在、選手・コーチ役員合わせ17名の陽性が確認させている。
ここで現状の整理と、原因の考察をしたいと思う。
現状の整理
ここで発表されている状況・陽性者を整理する。
発表時に「発熱など」と記載されている場合はニュース記事に記載のある場合を除き「発熱」とした。
念のため匿名とする。
7/17発表①
監督(発熱)
役員(発熱)
7/17発表②
ニュース記事
マラソン選手(発熱)
マラソン選手(のどの痛み)
マラソンSD
マラソンコーチ
マラソンコーチ
7/18発表
マラソン選手(発熱・背中の痛み・倦怠感)
マラソンコーチ(発熱)
マラソンコーチ(発熱)
競歩コーチ(発熱)
7/19発表
短距離選手(発熱)
ハードル選手(発熱)
ハードル選手(帰国時検査)
マラソン・長距離コーチ(発熱)
7/21発表
短距離コーチ(発熱)
リレーコーチ(同部屋)
読み取れること
ほとんど全員に症状がある
マラソン関係者が中心
なぜ日本選手団だけなのか
大会期間中にCOVID-19の陽性が報道されたのはイギリスの跳躍選手1名を除けば、ほとんどが日本選手団だ。
7/21追記:オーストラリアの中距離選手1名の陽性が報道されました。
同じ場所にいるのに、である。なぜなのか。
考えられる可能性を列挙してみる。
日本選手団に突出して体調不良者が多い(外国籍選手たちは体調不良を起こしていない)
日本選手団がやたらと検査を受けている(外国籍選手たちは体調不良でも検査を受けない)
日本選手団だけが体調不良の原因がCOVID-19となっている(外国籍選手の体調不良の原因がCOVID-19ではない、または検査を受けても陰性となっている)
日本陸連だけが律儀に陽性者を発表している(外国籍選手が陽性となっても陸連が発表していない)
あくまでこれらは筆者の憶測に過ぎないので、どれが当てはまってどれが当てはまらないのかはわからない。
なぜなら外国籍選手の状況がわからないからだ。
1が原因であることを決めつけて選手個人や日本国内の感染予防施策を批判したり、2が原因であることを決めつけて日本陸連の対応を批判したりしているネットユーザーが一部で見受けられる。
しかし、それらが正しいという根拠は今のところない。
ただ、Withコロナを進めていくためにも、1つ1つ検証していく必要がある。
結果は大して変わらない
PCR検査陽性で欠場した選手もいた。
こう考える人もいるだろう。「体調不良でも検査を受けなければいいのではないか」と。
ただ、自分はあまり意味がないと考える。
なぜなら、体調不良の中で競技(特に競技時間の長いマラソン)をするのは困難であるからだ。
出場したとしても良いパフォーマンスは期待できない。
水際対策
実はもう一つ意味がないと考える根拠がある。水際対策だ。
現在の日本の水際対策上、帰国には陰性証明が必要だ。(水際対策|厚生労働省|日本政府 (mhlw.go.jp))
つまり検査が義務となっている。もちろん陽性が出ることだってある。
体調不良だった場合、大会期間中に検査をしなくても帰国時検査でどうせ引っかかるのである。
ハードル選手の例が示すように、帰国時検査の陽性でも日本陸連から発表がされる。
つまり、競技前に検査をしなくても、「した場合に比べて陽性者の人数が減る」ということはないのである。
また、アメリカのルールでは陽性が判明した場合、5日間の加療が必要とされている。
つまり、帰国時検査に引っかかると5日間は現地にいなければならず、帰国がその分遅れるというデメリットがある。
円安で円建ての価格が上がっているなか、財政が苦しい日本陸連がそのデメリットを進んで享受するようには筆者には思えない。
おわりに
東京五輪でも大規模クラスターは発生しなかったし、今大会でも日本選手団以外にはクラスターはない。
欠場者が続出したという意味ではとんだ災難であった。
しかし、なぜ災難が起きたのか、なぜ災難なのか、あるいはそもそも本当に陽性者が発生することが災難なのかを考えていくことが必要だと考える。
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