【実験】3.5cmの肉は中火のほうが柔らかく焼けたっぽい
こんにちは。男の料理研究家の佐藤道尚です。
前回弱火と中火で焼き比べて、どの程度違いが出るか実験してみました。
当初の仮説では『弱火でじっくり焼いたほうが肉がしっとり柔らかく焼けるはず』という結果になると予想し、これを検証するために
焼き上がりの重量を比較して、より重いほうが水分が抜けてない=しっとりとして柔らかい肉である
と定義して実験を行いました。
ところが、実際に焼いてみたところ
『弱火より中火で焼いたほうが、重量が重くしっとりしている』
という結果になりました。(下の画像は前回のもの)
←中火で焼いた肉 弱火で焼いた肉→
弱火で焼いた肉は繊維が締まって硬そうなのに比べ、
中火で焼いた肉は隙間があり見た目にもしっとりしてるように見えます。
(実際に食感は中火のほうが柔らかかったです)
当初の仮説では、弱火でじっくり焼くことで中まで熱がゆっくり通り、その分表面付近の肉の変性は最小限で済むため火が通ってもジューシーに仕上がるという理論でしたが、真逆の結果になってしまいました。
どうしてこうなったのでしょうか?
実のところ「これが原因だ!」と確実に言えそうな理由はまだ考えられていません。
今のところ、考えられるのは
「蓋をして焼いたために内部温度が上がりすぎ、更に弱火で長時間蒸し焼きにしたため実は内部温度が上がりすぎて硬くなってしまった」
という仮説くらいです。
これくらいしか、思いつかない自分の想像力の欠如が憎いです。
ともかく、この仮説が正しいかどうかの検証のために蓋をしないで焼いてみる必要があります。
■今度は蓋をしないで焼いてみた
ということで、あらためて豚肩ロースを買ってきてなるべく同じ厚さになるように切り分けていきました。
今回はおよs3.5cmの厚さになりました。
このくらい厚いと、中まで火が通るのに時間がかかるため火加減の影響が出やすいはずです。
今回、弱火で焼く肉は146gです。これが内部温度65℃になった際にどの程度まで減っているか、その減少率を比較していきます。
ちなみに前回は、かなり長時間片面だけ焼いたので、今回は3分置きにひっくり返して両面を少しずつ焼いていきます。
少しずつ表面の焦げが濃くなっていきます。
30分ほど焼いたところ、肉の横側からドリップが出てきました。
でも、中心部はぜんぜん変色しておらずまだまだ焼きが足りないようです。
1時間以上焼き続けて、やっと中心温度が65℃を超えました。
これだけ時間がかかるとはさすがに想定外でしたが、ひとまず計量してみます。
結果は146g→105gまで縮んでいました。
割合でいうと28.0%と、前回の25.9%よりも2.1%も多く減少してしまいました。
つまり蓋による蒸し焼きは、むしろしっとり焼くには有効だった可能性が出てきました。
実際に肉を割ってみると中まで火は通っていますが、やはり前回同様ちょっと身が締まりすぎているように見えます。
豚肉ですからちゃんと火は通ったほうがいいんですが、ちょっと硬さとパサ付きが気になります。
焼いている最中に大分水分が飛んでしまっていたようです。
■蓋なしで中火で焼いてみる
次に中火で焼く用の肉です。157gありました。
これを中火で焼いていきます。
弱火と同じようにこちらも3分おきにひっくり返して両面焼いていきます。
さすがに中火で焼いているだけあって、どんどん表面は焦げますが中までどんどん熱が伝わり変色していくのが横からも見て取れます。
そして20分ほどで内部温度が65℃を超えました。
■衝撃の結果(2回目)
計量してみると、157g→120gで、減少率は23.5%と明らかに中火で焼いたほうが肉の縮みが押さえられたように見えます!
肉を割ってみましたが、ほんのりロゼ色で前回よりも理想的な焼き加減でしっとりしていました。
■まとめ
ここまでの結果から見るに、どうやら「厚切り肉を焼く場合、弱火でじっくりよりも中火で焼いたほうが肉はしっとり焼ける」という結論が真実味を帯びてきました。
まだ何か見落としている部分や、厳密に切って厚さを揃え、もっと精密に焼入れをすれば結果が変わったり仮説通りになる可能性もありますが、一般家庭用の台所で再現性をもってやろうとした場合、これ以上厳密にやるのはなかなか難しいと思われます。
さらに現実的な話もすると弱火で3分に1回ひっくり返して1時間もコンロの前に張り付くのは、普通の生活の中で再現するのはちょっと無理があります。
これが中火であれば3.5cmの肉も20分ほどで焼けますし、ひっくり返すのも10分に1回でも、恐らくそこそこいい感じの焼き加減になると思うので、タイマーをセットすれば簡単です。
ということで、ここまでの実験では『3.5cmもある分厚い肉を焼く場合は中火で焼いたほうが旨く焼ける』という結論に今のところはなりそうです。
ただ、なぜこういう結果になるのか自分では理屈が説明できないので本当に正しいのかはわかりません。
もしもこの記事を読んで「こうしてみては?」「ここがおかしいのでは?」などの意見や指摘などがあれば、ぜひコメントを頂きたいです。
それをもとに、再検証を行って再現性のある結論を導き出していきたいと考えております。
さて、次回は「もっと薄い肉を焼く場合は中火と弱火で結果に違いはあるのか?」というテーマで実験をしてみようと思います。
お楽しみに!