Err202-Episode03_Diabetes mellitus
初めての注射は、痛いけれど、
それよりも、あぁ始まってしまった。
そんな感じがとてもした。
一回しか打てないから練習はそれで終わり。
これを明日から私が自分でやるのか。
そう思うと仕方ないと分かっていながらも、気が重くて仕方ない。
「そういえば、毎日同じ時間帯に打った方が良いんですか?」
「できる限り、その方が体に一定量インスリンが供給されるからいいね。」
そりゃそうだろうな。
聞いておいて、勝手に納得する。
んじゃ、聞くなよ。と自分でも思うけれど、
初めてのことだし、経口薬よりもホルモンって自分の体内で作られているものなのに何故か怖い気がしてくる。
「あ、そういえば。」
看護師さんから声を再びかけられる。
「先生から、血糖値測定の話って聞きました?」
「あ、なんか言ってたかもです。」
初っ端からやることいっぱいである。
気持ちが追い付いていないのに頭の中も整理できていない。
「これとこれ使うからね。」
はい。と言って渡されたのは体温計のデカいVer.みたいな機器と
ボールペンみたいなもの。
なにこれと思っていたのを察したらしい看護師が
「これで指の先切って。朝起きたらご飯食べる前に血糖値はかるんだよ。」
朝からやること多すぎやしませんか。
慣れる気がしない。
「わかりました。」
もうだいぶ気持ちは萎えているけれど、やり方を聞かないと帰れないんだよなぁ。と思いながら、看護師さんの説明を待つ。
「ボールペンみたいな方に針をつけて、ここが緑になるとちゃんと針がついているからね。」
「センサーはできる限り誤差を出さないように直接触らない方がいいからパッケージに入れたまま、差し込む方がいいかな。」
「んじゃ、一回測定やってみようか」
分かっていたけれど、血抜かれまくりである。
「垂直に指につけてそうしたら、針が出てきて指先から血が出るから、それを測ろう」
「分かりました。」
もうこの辺でだいぶ帰りたくなっている私がいる。
パチン。
さっきの注射より痛いんだけど…。もうやだぁ。
そんなことを思いながら、工程を覚えるために必死である。
ピッ。
「126」
「うん、ちゃんとできたね。」
一応は無事にできたらしく褒められる。
「そうしたら、明日からこれやってね。測ったらこのノートに数値を書いていってね。」
「わかりました…できるかな。」
ぽつりと本音が出てしまう。
「大丈夫よ、慣れるから。」
そう言われながら、病院を出た。