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見込み客に響くプレゼンがもつ「3つの力」

Webサービスをやっていると、こんな苦悩に見舞われます。

「たくさんセッションもPVもあるのに、
問い合わせ数・登録数・購入数といった
大事な数字が増えない!」

こんなとき、主な要因として「口説き下手だから」という場合が。

目指すべきは興味を沸かせて一気に意思決定まで持ち込むプレゼンができてる状態。

今回はそんな上手なプレゼンをする際に、有用な話を整理してまとめてみました!


上手いプレゼンに働く「3つの力」

いいプレゼンには、オンライン・オフライン問わず以下の3つの力が働いています。

1. 魅力で引き込む【女神の引力】
2. 吠えるように追い立てる【番犬の斥力】
3. スケートリンクのようにスベスベな【ガラスの摩擦力】

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プレゼンとは言いかえれば「対象Aを地点Gに到達させること」です。

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【女神の引力】【番犬の斥力】【ガラスの摩擦力】をうまく作用させることで、
高い確率でプレゼンはうまくいきます。

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それでは、3つの力それぞれを大まかに解説していきます。

※以下便宜上、利用の有無を問わずサイトに訪問する方々を「ユーザー」、Webサイトおよびそこを通じて提供するサービスないしは物品を一まとめに「プロダクト」と呼称します。


1. 魅力で引き込む【女神の引力】

初めて訪れたユーザーに、何を一番に話せばいいのか?

それは「プロダクトのユニークな強み」です。

もう少し具体的にいうと、プロダクトがユーザーの期待を良い意味で裏切ることができる長所や利点を前面に出すことです。

さらに以下の9つを心がけることで、女神級の魅力で伝わるようになります。

◆1-1. 希少性を見せる
「先着100名まで」「会員限定」「今月まで」など、もしプロダクトにレアさ(希少性)を示せる側面がある場合は前面に出しましょう。その場合、希少性の原理*が働きユーザーによりプロダクトが魅力的に映ります。

*希少性の原理:どこでも入手できるものよりも、数が少なかったり手に入りにくいものほど価値が高いと判断してしまう現象のこと。

◆1-2. 一石二鳥と示す
「4通りの活用方法」や「様々な効果が」といえる側面があれば、ぜひ説明しましょう。コストパフォーマンスが高いものを誰しも好むため、用途や効果のバリエーションを示しましょう。

◆1-3. 簡単さを示す
「たった40秒で査定可能」や「Googleログインで直ぐにスタート」といった、あっという間にプロダクトを利用できる場合は明示しましょう。ユーザーにとってスピードやアジリティ(敏捷さ)の良し悪しは重要な比較要素になります。

◆1-4. あえてすべてを言わない
プロダクトの特徴が10あったとしても3つまでを掲載して残りを「more→」などと隠してしまいましょう。ツァイガルニック効果*により、不完全な情報があることでユーザーの記憶に留めやすくなります。

*ツァイガルニック効果:完成されたものや情報より、未完成・不完全なのものや情報に人の注意が向きやすい。

◆1-5. イチオシを目立たせる
プロダクトが複数の利用形態を持つ場合、いちばんのオススメを目立たせた表現にしましょう。コントラスト効果*が働きコンバージョンを後押しします。

*コントラスト効果:2つ以上の情報がある場合に周囲との対比をもちいて印象に差をつけることができる。周囲より目立つ情報を優良だと判断する知覚効果を指す。

◆1-6. バンドワゴン効果*を出す
「〇〇カテゴリで1位」や「〇〇氏もオススメ!」と言われると無条件にいいものだと感じやすいものです。もし実際に著名人からの推薦コメントがあったり、特定のカテゴリで順位が高い場合は、しっかりとお知らせしましょう。

*バンドワゴン効果:権威ある人物による高評価、あるいは多数の人物による高評価が付随する場合に選択肢を優良だと評価してしまう心理

◆1-7. 誰でもわかるように話す
テクニックというより心がけですが、うまいプレゼンであるほど説明がシンプルでわかりやすいものばかりです。難しい熟語や漢字、専門的な言葉や言い回しをさけて、誰にでも伝わる説明にしましょう。

◆1-8. ノリを合わせる
メインターゲットとなるユーザーが、プロダクトに期待している居心地や雰囲気(トーン)というものがあります。これをきちんと汲み取って振る舞いやお作法を整えることで、より一層見込みユーザーは耳を傾けてくれるようになります。

◆1-9. 手短に伝える
なるべくテキストは短くキャッチーな言葉にまとめ、テキストの代わりにビジュアルに伝えられるものは写真やイラストに置き換えましょう。
文字数・語数が少なくなるほどに可読性尺度*がたかまり、情報が伝わりやすくなります。

*可読性尺度:読みやすさを測る指標。一文あたりの単語数と、使われている単語が少なく平易な表現であるほど、可読性尺度がたかく読みやすい文章とされる。

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2. 吠えるように追い立てる【番犬の斥力】

プロダクトを利用してもらいたいなら、まず念頭におくべき言葉があります。

「ユーザーは多少便利なぐらいでは新たなプロダクトに乗り換えずに今まで通りのプロダクトを使い続ける

ユーザーは簡単に鞍替えしてくれないよという重要な一節です。
では、そんな人たちを動かすには何が有効でしょうか?

それは「今のままだと損するよ」など、脅威を助言してあげることです。

以下に示す4つのアドバイスをユーザーにしてみてください。
きっとユーザーの重たい腰が浮き上がるはずです。

◆2-1. 枯渇間近のアドバイス
「在庫がなくなる」「期間が終わる」など、手に入らなくなる可能性を示唆することで行動喚起するものです。記憶に新しいですが、昨年マスクやアルコールを買えなかった状況が示すように、誰しも在庫の枯渇に恐怖心をおぼえ、残り僅かとなれば我先にと求めてしまう性質を持ちます。枯渇する可能性が実際にある場合はユーザーに明示をしましょう*。

*注意:ただし、この性質をいたずらに多用すると信頼を毀損するため、乱用を避けるようにしましょう。

◆2-2. 損失発生のアドバイス
「実は今、年間15万円の損をしてるんです」「毎月120時間を浪費してます」と、現時点でどんな損失が発生しているかを示して行動喚起するものです。人は得するよりも損することに強く反応します。貯めてたポイントの有効期限が迫ると「もったいない」と買い物に行ってしまう原理がこれにあたります。

◆2-3. リスク回避のアドバイス
「まもなくサポートが終了します」「20XX年から法改正がされ利用できません」など今後訪れるリスクを示した上で代替提案をして行動喚起するものです。
誰しもリスクを警戒します。発生しそうなリスクがあれば、根拠を持ってアドバイスをしましょう。

◆2-4. 平均化のアドバイス
「多くの人がやっています」「通常は必要なんです」と、一般的・平均的な状態から乖離していることを示唆して行動喚起するものです。全ての人に有効なアドバイスとは言い難く、いわゆる「マジョリティー」といわれる集団に属する方々に有効な行動喚起手法です。

少数派に当たるイノベーター気質な方々には、このような同調圧力は特に効果がありません。笑

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3. スケートリンクのようにスベスベな【ガラスの摩擦力】

いかにユーザーを乗り気にさせるか、というモメンタム(勢い)づくりも大切ですが、検討中のユーザーのテンションを下げないことも大切です。

折角ノリ気になって、買おうかな・登録しようかなというときに、手続きが複雑だったり確認したいことにたどり着かなかったりして、離脱しちゃったという経験が一度はあるはず。

こんなムダな摩擦力が働いていては、折角集客した努力も水の泡に…。

そこで、よくあるムダな摩擦を見つけるのに役立つ6つの問いをご紹介します。ぜひ、ゴールまでの道のりをスベスベにしましょう。

◆3-1. 奇をてらってないか
ユーザーをがっかりさせる主な要因の上位にあるのが「個性の出しすぎ・奇をてらいすぎ」というのがあります。

たとえば

・斬新すぎるインタラクション
・聞いたことのないキャンペーン
・馴染みのない登録導線

ユーザーにとって見慣れないものを散りばめすぎると混乱して立ち去ってしまいます。言葉・デザイン・導線を見直してトリッキーなものがあれば、なるべく馴染みあるものに置き換えましょう。

◆3-2. キチンと回答しているか
登録や契約の際にユーザーさんがよく聞いてきそうなことを、先回りして説明ができていない場合もガッカリさせてしまいます。

「知りたいことがあるのにサイト見回ってもよくわかんないよ…」

こんな気持ちになると手続きを途中でやめてしまいますよね。

ユーザーの立場になって、気になること疑問に思うことを包括的に洗い出した上で、ランディングページ内あるいはFAQページ内に回答を掲載しておきましょう。

◆3-3. 胡散臭くないか
唐突ですが

「今すぐクリック!! 芸能人・モデルが御用達のバッグが特別価格!!!」

なんて言葉を目にすると、怪しく感じませんか?

こんなクリックベイト*のような文言ばかりが並び、デザインにもあまり力を入れていないサイトに訪問すると、何やら怪しい感じがするものです。こういった怪しさはユーザー離脱の要因になります。

昔は効果があるとされた言い回しやデザインテクニックも、今や一部は廃れています。引きで見たときに妙な胡散臭さがないかぜひ確認してみてください。

*クリックベイト:オンライン広告やSNSにおいて、ユーザーの興味をひいてクリックさせるため意図的に誇張した表現を用いたもの


◆3-4. 不安な背中のひと押しがあるか
購入や契約の直前に「これでいいのかな?」という不安に駆られます。そんなときに利用者の声や導入事例など、ユースケースを目にすることで安堵できたりします。大きな買い物の後に訪れるバイヤーズリモース*にも対応できるため用意できる場合はぜひ掲載しましょう。

*バイヤーズリモース:大きな買い物をした直後に感じる後悔の感情のこと。ユーザーは購入後に再度ECサイトに訪れて製品スペックやユーザー体験談を閲覧する傾向にある。

◆3-5. お得と納得がセットになっているか
単に「全品50%オフ」と言われると少し怪しく感じますが、「改装セールに伴い全品50%オフ」だと納得かつ安心できますよね。なんらかのお得情報に対して、筋の通った理由を添えると認知的不協和*がうまれにくくなります。

*認知的不協和:認識している情報の辻褄が合わない、あるいは納得できない場合にストレスに感じる。その状態を指す。

◆3-6. 品質信頼のエビデンスを言えてるか
つい漏れがちなのが「サービスの品質の裏付け」となる話を掲載することです。ユーザーにとっての信頼に足る理由(=RTB, Reason To Believe)があることで、カチッサー効果*がはたらき、説得力が増します。

*カチッサー効果:ある働きかけによって、深く考えることなしに、ある行動を起こしてしまう心理現象。人に何かを頼む時に単に「○○してもらえますか?」と言うよりも「○○なので、○○してもらえますか?」と理由をつけると承諾されやすい。

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さいごに

今回はWebサービスへの適用を視野に入れて書いていましたが、もちろん様々な場面でも役立てる内容です。

例えば、上司に有料イベント参加の許可をお願いしたいときなど、3つの力を意識するだけで提案がすんなり通ったりもします。

・このイベントの魅力はどこにあるのか?
・参加しない場合はどんな損をするのか?
・上司は何を懸念しそうで、それらにどう答えるか?

【女神の引力】【番犬の斥力】【ガラスの摩擦力】を駆使することで、日常のさまざまなプレゼンが通りやすくなる、はずです!


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やっさん(Yasuhiro Ishikawa)
サポートいただけたら、嬉しくて本屋に行くと思います・・・笑