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漢方に救われた話

個人的な健康問題についてここに書くのは少しためらわれたけれど、人生観が変わるほどうれしい出来事があったので、そして、もしかしたら同じように悩まれている方にとって役に立つかもしれないと思い、書き記すことにしました。


良い薬?

一昨年夏ごろから、睡眠導入剤を飲んでいた。心療内科に通って…1年半もの間。
基本的にはロゼレムという薬。それで眠れないときはデエビゴ。さらに眠れない用に、抗不安薬も処方してもらっていた。

まったく初めての経験ではない。実は若いころから眠れず悩むことはしばしば。病院に行くのも初めてではなかった。
しかし1年半もの間、毎日飲むという経験は初めてだった。4年前から開始した、楽しいはずの母との同居が想像以上にハードなものであったことが一番のストレスだったことは間違いない。

医師によると、ロゼレムという薬は「生体内に存在しているメラトニンというホルモンが作用する受容体(メラトニン受容体)に働き、メラトニンと同じように刺激して、自然な睡眠状態を促す。副作用もなければ、依存性も極めて少ない。外国ではサプリとして売られている」とのことだった。

おお、わたしが長年あれこれ処方されてきたどの薬とも違う。医学は発展しているのだなぁと感激したのだった。

友人の言葉

しかも、昨年夏に久しぶりに会った友人にこの話をすると、何と彼女も眠れず薬を飲んでいるとのこと。デエビゴ。わたしだけじゃないんだ!とうれしかった。しかも「アメリカではよく吠える犬を黙らせるために薬を飲ませるんだって。薬で眠れるのなら飲んでおけばいいんだよ」との意見。
そんなふうに軽くとらえている人もいるのか…気持ちが軽くなった。

何も考えず飲むことにした。夫もその意見に賛同。
「サプリみたいなものなんだから、あめ玉みたいにぽんって口にほうりこんでおけばいいんだよ」。

しばらくはそんなふうにして暮らしてみた。
しかし。
やはり毎日飲むことへの違和感がふつふつと。
人間は本来眠る生き物でしょ? なぜ薬を飲まなくてはならない? 
しかもわたしは健康には気を遣っている。食べるものは何でも手作りだし、添加物やジャンキーなものはほとんど口にしない。洗濯は洗剤ではなく石鹸で、髪も石鹸で洗いクエン酸リンス、髪を染めるのはヘナ、という自然派。
週5でジョギング。コロナのワクチンだって一度も接種していない。
そんなわたしが、ことこの件だけ健康的じゃない。生理的に拒否したいものを摂取させられているような気持ち悪さ、強い違和感があった。

依存症??

まずは減らしてみようと、ロゼレムを半錠に減らしてみたところ、眠れるかなと不安になって、眠れない。デエビゴも飲むはめに。
さらには、減らすことを考えただけで心配でドキドキしてくるように。
これではとてもじゃないけどやめられない。
依存性がないとのことだけど、これは依存では?
もしやわたしは一生やめられない人になってしまったんだろうか…? どうすればいいの?!

先生に相談するも、「安全なマイルドな薬だから飲み続ければいいんじゃないですか? たとえば高血圧の人は一生、毎日薬を飲みますよね。それと同じと考えれば」と。いやそれは違うんじゃないか…。
「まずは半分にしてみるとか」とも提案され、「ドキドキしてくるんです」と言うと「うーーん」と頭を抱えられる。
そして、「いつか、もう眠くて薬を忘れちゃうような日が来ますから」というおきまりのセリフでおしまい。

こんなふうにして飲んでいる限り、そんな日は絶対に来ない、とわたしにはわかっていた。
何回かこんなやり取りをして、この先生には相談してもダメだと悟った。

漢方との出会い

今年に入って、どうにかして解決策を見つけたい、体操でも、なんとか療法でも、アロマでもヨガでも、音楽でも何でも試そう、と思っていた。あきらめて一生飲み続けるのは嫌だし、そんなのおかしい、と思っていた。
だけどやめられそうになくて、毎日悩んでいたところ、ふと、漢方はどうだろう、と思いついた。今の薬から漢方に変え、ゆくゆくはやめていくというのは。
たまたま漢方のサイトにいきついて、「近くの漢方医を探す」で検索すると……お、1件ヒット。場所を確認すると、めっちゃ近所!!
HPもいい感じ。口コミもいい感じ。えーーーー! 

さっそく行ってみる。予約も必要ない、普通の内科。子どもたちに人気があるようで、子どもの本やおもちゃが置かれ、小児科みたいな雰囲気。
「今の薬をやめたいけれど、やめようと思うとドキドキする。漢方に変えられないか」と相談すると、「やめられますよ!」と明るいお答え。
そして衝撃的だったのが、「ロゼレムは認知症のリスクがありますから、少しでも減らしていきましょ!」
「え…? それはマイスリーなどではないのですか?」
わたしは以前マイスリーという薬を時々飲んでいて、今の心療内科の医者に「認知症のリスクがあるから過去に処方された分は捨ててください」と言われていたのだ。 

「ロゼレムもそうですよ。マイスリーみたいに強制的に眠らせる薬じゃないから、ロゼレムのほうがやめにくいんじゃないかなぁ」とのこと。
「え…?サプリみたいなものだと聞いていますが……しかも依存性が少ないって…」
「いや、その状態は依存以外の何物でもないですよね」
「ですよね! やはり漢方のほうがいいですか?」
「100万倍いいです」

衝撃的な情報を得て混乱しつつ、しかし未知なる漢方に期待も抱きつつ、診察室をあとにする。

処方された漢方薬

処方された漢方薬は三種類。
・加味逍遥散(朝食前)
・半夏厚朴湯(夕飯前)
・酸棗仁湯(寝る前)

翌日の朝からさっそく飲んでみる。お湯に溶かして飲むと、加味逍遥散は苦い。でも酸棗仁湯はコーヒーのようでおいしいと思った。
夜、ロゼレムを半分だけ飲むかやめるか迷い、結局やめた。何だか大丈夫そうな感じがしたのだ。
もし眠れなかったら、朝まで起きていようと思った。ロゼレムから脱却したいという強い思いから、覚悟はできていた。先生から「眠れなかったら起きていればいいんですよ!」と言われたことも大きな励みとなっていた。そう、起きていればいいんだ。最初は大変かもしれないけど、きっと乗り越えてみせる。

しかし、はたして、眠れた。ああ、うれしい。以来1週間、すこぶる調子よし。信じられない。こんないい方法があったなんて。
しかも、あんなにやめるのが難しかったロゼレムを簡単にやめられた。依存症じゃなかった!

漢方は西洋の錠剤を飲むのとは全然気分が違う。なんだろう、薬草を煎じて飲んでいるような。
そうすると、なんとなく自分の体を「整えている」という気分になり、自然とカフェイン摂取は控えたくなる。そしてジョギングは漢方と相性よし。いつもにも増して気持ちいい。

あああ、幸せだ。長年の悩みが解消されたのだ。見える世界が変わった。重い気分はどこかへ消え去り、代わりに楽しい気持ちがやってきた。
同じような悩みをおもちの方、ぜひ一度お試しください。

今後わたしは何か他の病気で具合が悪くなったときもこの先生のところに行って漢方を処方してもらおうかなと思っている。

漢方って素晴らしい。知らなかった。
もっと精神疾患の現場で活用されたらいいのに…と思う。少し仕事でかかわっているから知っているのだけど、精神疾患における薬の問題は大きい。もちろん薬を飲むのは大切なことなのだけど、とにかく強い薬を長期間飲んでいる人がとても多い。

なお、ロゼレムに認知症のリスクがあるとか、やめられないとか、上記の情報はあくまでわたしのかかった先生がおっしゃったことであり、事実か否かはわかりません。
また、この薬が合っていて、一生飲むという方はそれがベストだと思います。
これはただわたし一個人の話ですので、その点はご了承くださいね。

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