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詩 まじってひかる沫
詩 まじってひかる沫
ひかりひとつ差さない
まっくらな羊水は
際限のない、途方もない
広さで
きみの皮膚を覆ってしまった
重力をみうしなって
窒息の圧迫を
際限なく、途方もなく
噛み締め続けた
きみの心臓を暗幕が覆う
どんな手も
どんな推進力も
いまのきみにとっては
あらたな苦しみへの入口だった
どんな親密さも
どんな抱き締め方も
いまいる海底で
いまある苦しみになんとか耐えてる
ぎりぎりの、きみの心臓に
あたらしい、未知のものを与える
恐怖でしかなかった
慈しみも、祈りも
混乱するきみには 届きもしない
きみのいまいる無酸素状態
そこから連れ出そうとする手の 行き先が
天上への救いへと 向かっているのか
それとも、さらなる水深へと沈められるのか
無重力のくらやみの中で
わからなくなってるんだ きみは
行こう、水平線はこっちだよ
目を閉じて、自分のことに集中していて
それだけでいいから
ほら、足に鎖が絡まってる
取ってあげるから
だから
自分の顔をした、わずかな救済の
ほそい首を絞めないで
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『東方星蓮船』に登場する舟幽霊『村紗水蜜』を基にした詩