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【詩】禊


  詩 みそぎ


 しなびて ささくれて
 いやな臭いのついた肉体と精神を
 みそぐ気も失くしてしまって
 起き上がることもできないで
 そんなからだ
 いとしいきみのちかくには置いておけないから
 何より大切なきみのそばにはいれないから
 距離を取って伏す
 背を向けて伏す
 けがれに包まれて 伏す

 日が昇って目覚めて 水浴びに行く気にならなくて
 くたびれたものばかりを 視界に入れる
 下卑げびた嗤いが繰り返される
 誰も笑ってないのに ひらいた部屋で
 大袈裟な声を漏らして
 目はモニターに向けられて
 空気が割れていく
 きみといるために築いた城が 崩れてく

 こわして、こわし尽くしたあと
 きみを抱き締めて
 ごめんね、ごめんねと呟いて
 それで済ませるのは もう止めにしなよ

 身を起こしたから 目覚めたことにはならない
 いつか抱いたこころえを 思い出す作業を
 その日々を繰り返したい
 繰り返さなくちゃ
 何度挫けたって うまくいかなくたって
 そこに辿り着いていなくちゃ
 あなたとともにはいられない







東方とうほう輝針城きしんじょう」に登場する小人「少名すくな針妙丸しんみょうまる」を基にした詩