詩 吹き溜まる季節
詩 吹き溜まる季節
季節が留まっている
ふと目を離しても
まだ 季節が留まっている
気がつけば「一年あっという間だった」と言っているのに
今目の前で、温度と湿度は
しぶとく 留まっている
願っても動かない
思うようには移り変わらない
夜の水底に沈み続けなければ
季節は流れない
いずれ 流れる風の変化は
さもしさを吹き飛ばしてくれるだろうか
だが 願っても
野分は来ない
木枯らしは吹かない
水底へ 息を止めて潜れ
季節も 温度も 痛みも
どうでもよくなってしまうくらいの
烈しい暗闇に覆われる
そこではじめて
じくじくと留まっていた
季節は動いてくれる