詩 瞳の葉脈
詩 瞳の葉脈
音や文字、色彩や映像から、葉脈のように水分が走ってる。流れてくるものを受け止めるのは、わたしたちの瞳。どんな人にでも宿るはずだった、可能性めいた世界の束が、瞳に熱を与えてできあがったのが、黒と金の宝石。
ともしびのように緩やかに、溶鉱炉のように無慈悲に、ほんとうのことが流れ込んでくる。
涙を流すだけでは終わらない日々のことを、わたしたちは秘封倶楽部と呼んだ。
世界にはいつも置き去りにされる。夢にはいつも掴みどころがない。だからこそ遠くのものを視るための肉体だった。出逢いだった。世界に追いついたという誤解を、世界は深遠すぎるという気づきを、いつまでも繰り返そう。いつまでも境目を夢見ていよう。世界の根本につながった葉脈で、この瞳はできてる。
上海アリス幻樂団の音楽CDに登場する大学生『宇佐見蓮子』および『マエリベリー・ハーン』を基にした詩