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詩 非人神


  詩 非人神あらびとがみ



 機械の半身が
 放電しながら筆を執る
 その様相を 見たことがある
 それが現代社会の様相であったか
 はたまた 私の夢であったか
 明晰はっきりとはしないのだけれど
 あれが何であったか 説明できてしまう

 人が神様でいるためには
 現代は忙しすぎる
 絶え間なく感情が流れ来る
 眼前に集中するためには
 あまりにも妨げが多すぎる

 いま目の前にある、大切なものを
 一秒でも多く思慮するためには
 怒りも 妬みも 悲しみも 孤独も
 あまりに邪魔で
 そんな濁流の中で呼吸を求めて
 浮上している間に 次の、その次の、
 事件が 追いかけてくるから
 人は 人の身のままでは
 神様になれなくなった

 機械の半身は
 呼吸を必要としない
 準備を必要としない
 濁流の中でも 肉食魚の群れの中でも
 筆を執ることができる

 それは
 今の時代の 神様の姿
 今の時代の 禍々しく耀かがや
 望み








 『東方とうほう風神録ふうじんろく』に登場する現人神あらびとがみ東風谷こちや早苗さなえ』を基にした詩