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詩 わたしの一つ



やわらかな日差しに
踏みしだかれていると
ずっとおもってた

屈託ない微笑みに
つけ入られる瑕疵かしがあると
ずっとおもってた

なにか筋を通さなければ
生きるに値はしないと
ずっとおもってた

誰かに身を委ねたとき
わたしの気持ちはこの世から消えてしまうと
ずっとおもってた

そういうことにしたかった
きみという不可解を
堕落させたかった
わたしという不可解を
標準としたかった
そのほうが卑近ひきんだから
そのほうがわかりやすいから

わたしはいま
こんなにもなんとなくで生きていけるのだということを
受け容れられないでいる
その抵抗はじきに破れるだろう
たしかにそのとき
わたしの一つは死ぬのだろう
けれどそれでも
なんとなく わたしは
きみのそばで続いていくのだろう
きみのそばじゃなくても 続いていくのだろう









東方Projectのキャラクター『鬼人きじん正邪せいじゃ』を基にした詩