詩 摩耗していくえいえんの
たがいの皮膚が一枚ずつ
もう一度重なって
肉が再生されたとして
たがいの時間が一堂に
再び会することは
有り得もしないだろう
概念としてのきみをたべてる
物質としてのきみはいきてる
ことばを重ねるたび
えいえんは少しずつ摩耗する
星空を拝む丘が
いつかなくなるなんて嘘みたいだ
その日が来るまでにきみを
歯牙にかけて 血液を喰らってもいい
でもそんなこと もういいんだ
ことばを重ねるたび
きみは少しずつ摩耗する
剥がれ落ちた丁寧さを
この網膜はおぼえてる
おれはたぶん
きみというひとをたべてる
わからないかもしれないけど
きみというひとをたべていないとしたら
いま この唇は動いていないし
いま このときはありえないんだ
えいえんであってください
まなこからひかりが失われる
そのときまで
『東方虹龍洞』に登場する大蜈蚣『姫虫百々世』および大天狗『飯綱丸龍』を基にした詩