詩 死化粧の開闢
詩 死化粧の開闢
死に化粧のほうが
どんな呼吸より瑞々しくて
彷徨ってるほうが
いつの表情より明晰だった
この世に生を享ける瞬間は
たったひとつじゃなくて
きみの場合それは
たったひとつの機会と引き換えだ
二度と終われない病
二度と始まらない病
生きる限り
死の境界を跨がなくちゃならない
なんて矛盾に気付かせてくれたのは
きみなんだ
二度と終われないくらいなら
二度と始めらないくらいなら
死に装束じゃないの
緩やかに閉ざされる瞬間を
ほんの少し伸ばすための
豪勢な門出
世界は
今日
都合よく二分される
もう一度、生を享けるために
『東方妖々夢』に登場する妖怪『八雲紫』および亡霊『西行寺幽々子』を基にした詩