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詩 こえきこえ



詩 こえきこえ



 限りあるはじまりの一つ
 開いたら覗いて
 滝壺
 浮かんだ
 明かりが点いた
 見えたら、はい、謝らないと
 消えたら、いいえ、着ないと
 いつトンネルを抜けるの?
 白熱灯
 点々と続く白熱灯
 の残骸、枯れるフィラメント
 せせらぎ
 季節外れのサンダルに染みるね、羊水が
 乾燥と湿潤のミルフィーユ
 その中間は何?
 ぼくの頭部?
 ぼく?
 は、
 枯れつくしているのに
 皮脂がてらてらひかっていて、
 痩せぎすをしているのに
 腹がぶくぶく太っていて、
 いるように見える
 いつトンネルを抜けるの?
 仲間に逢えるのはいつなの?
 河童ってだれ?
 青いおさげの機械屋。
 は、
 スクリーンから脱走しているのに、
 目の前に現れやしないから、たちが悪い。
 これじゃあ、
 説明のしようがないじゃあないか
 ねえ、
 名前を呼ばれる、名前を呼ぶ、
 名前を呼ばれる、名前を呼ぶ、
 トンネルを反響する、けど、
 ぼくと現実を仲介する大気は
 ちっとも震えやしない。






東方とうほう風神録ふうじんろく』に登場する河童『河城かわしろにとり』を基にした詩