詩 ステージ・ライト
小槌大槌を背に受けている浜辺が過るんだ。知らないのではない、忘れてるのではない、思い出せないの。降りかかる霜が濡らすのは肩紐、ネックレス、ノック・ノック、しらばっくれてんな。おもちゃなのは否定しないけど、そこに侮蔑の意味は見出せなくて、だから声をみずから出すことなんてなかった。
光彩を建設している人。光合成をしている神々。虹霓のうえで横たわる身体。ドラム・スティックが歌い手の足元まで転がり、上京がはじまった。視界は揺れ、蝸牛は溶け、衝撃だけが横隔膜を貫いている。いまはじめて誕生したかのような金属音とぼく。と、人、人、人。のリズムとサーフ。
道が交わるかどうかじゃなくて、ねじれた位置関係にいるものへと信号が届くかどうかなんです。小槌の音色が教えてくれたのは夜明けの煩悩のこと。まだ眠っていたのか。息絶えていなかったのか。それも悪くない。お邪魔します。堂々と、ツイン・ペダルの前にいます。
『東方輝針城』に登場する太鼓の付喪神『堀川雷鼓』を基にした詩