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詩 悪魔の血管


詩 悪魔の血管


 蝙蝠の血管、には
 触れることができない
 魔女の頭脳、には
 近づくことができない
 給仕の時間、には
 伴にいることができない
 門番の過去、には
 立ちいることができない
 そして
 洋館の地下、など
 知ることさえできない
 映写機は
 からから鳴って
 網膜に光景を映してる
 幾億の瞳に映る紅い月の
 色はどうしようもなく違ってる
 蝙蝠の血管、が
 枝分かれした果ての果てが
 いま 視神経の目の前で
 景色を映してる
 緋色の月を照らしてる
 その心象風景を
 同じものだと幸せに誤解しあって
 違うものだと勝手に決めつけようとする
 けれどほんとうは
 証明が許されないものなの
 あれは
 蝙蝠の翼膜
 魔女の論理
 給仕の得物
 門番の秘密
 そして
 地下室を覆っている
 夥しい血管









『東方紅魔郷』に登場する紅魔館の住人たちを基にした詩