ロスジェネ女子を支えた #音楽の履歴書
ビーマイベイベー、ビーマイベイベー、ビーマイベイベー……(エンドレスリピート)(エンドレスではない)
童謡をすっ飛ばし、最初の記憶に残っている音楽は何だと聞かれたらこのフレーズ思い浮かぶ。天井から聞こえてきたんか???ぐらいの囁き声で男の人がひたすら繰り返す「ビーマイベイベー」。
ご存知、いや30歳以下の方は存じないかもしれないCOMPLEX。吉川晃司と布袋寅泰の伝説ユニットだ。
当時、9歳ぐらい。5歳上の兄がいるので、いわゆるJ-POPを耳にする機会は早かったと思う。
※「ロスジェネ」とは「ロスト・ジェネレーション」の略で、1990年代後半から2000年代前半の就職氷河期に社会に出た世代のこと。ちなみに私は2004年組でギリギリ。
J-POPの大海原、浜から沖まで上澄みを掬う
みたいな音楽の聴き方をしていた。良く言えば幅く、悪く言えば浅い。セールス売り上げ年間トップ30ぐらいまでならだいたい歌えます、みたいな感じ。
流行りのアーティストが流行ったタイミングで好きになる。全然先取れない。昔は、音楽って「早く知ってれば知ってるほどカッコいい」みたいな空気があり、思春期は自分の鈍臭さがうらめしかった。ファッションとかもそうなんですよね。
珠玉の音楽は鮎貝 健さんが教えてくれた
上澄みを掬う方法はもっぱら音楽番組。「HEY! HEY! HEY!」「うたばん」「ミュージックステーション」御三家を欠かさず観ていた。
あと好きだったのが深夜時間帯寄りの「COUNT DOWN TV」と「JAPAN COUNTDOWN」。特に後者。鮎貝 健さんの渋声に癒される土曜の夜。毎月変わるオープニング&エンディングのテーマ曲、楽しみだったなぁああ。
ざっくりダイジェストと時代別楽曲10選
◎8〜12歳
兄が好きだったCOMPLEX、BOØWY、CHAGE and ASKAをベースに、トレンディドラマの主題歌やCMのテーマソングに耳を澄まし始める。winkのブームにより、従姉妹とユニットを結成。「愛が止まらない」を家族の前で度々披露。小学校では光GENJIが大フィーバー。
ビーイング(音楽事務所)がめきめき存在感を出し始める。CDは長細い8センチの時代であり、まだ「アルバム」という概念には気付いていない。この辺りから夏はTUBE、冬は広瀬香美が幅を利かせて、以後スタンダードとなる。
(基本的に男性ボーカルがお好み)
◎13〜15歳
とんでもない名盤が続々と生まれた時代。「ハチミツ」「Atomic Heart」「evergreen」「LIFE」アルバム名だけでピンとくる凄み。特にミスチル、スピッツ、SMILEにどっぷりハマる(SMILEは絶対にもっと売れてよかった)。
爽やか路線を攻める一方で、LUNA SEA、L'Arc〜en〜Cielなどビジュアル系に激しく心奪われすぎてく。自分の中に脈々と受け継がれるビーマイベイベー精神を持て余した記憶。ヤンキーと付き合って一ヶ月で別れる。
おしゃれな子はみんなジュディマリのYUKIちゃんが好き。YEN TOWN BANDが先を行き過ぎてついていけない。
(LUNA SEAの中で一番好きな曲)
◎16〜18歳
ダブルTK(小室哲哉、小林武史)が時代の寵児となる。つんくと二大巨匠。相変わらずJ-POPの魅力にどっぷり浸かるも、なぜか「邦楽=ダサい」「洋楽=カッコいい」みたいな空気が発生し、イモ扱いされる(怒)。
ミスチル桜井さんの不倫騒動に傷つき、Dragon Ashの「東京生まれヒッピホップ育ち」にオロオロする。学年中のケンジくんが「KJ」に。
the brilliant greenに惚れる。トミーになりたい。宇多田ヒカル「Automatic」、椎名林檎「正しい街」、aiko「花火」と畳みかけがえげつない。才能に頭を殴られるティーンエイジャー。カラオケではSURFACEを熱唱。
(今でもシケた気分の夜に聴く)
◎19歳〜22歳
TKラインからは浜崎あゆみ、KJラインからはRIP SLYME、ASAYANラインからはCHEMISTRYなど有象無象の時代。
高校卒業後に付き合った彼氏の影響でメロコア、スカコアのカテゴリに出会う。モンパチの大ブレイク。ハイスタがコロ助をカバーするセンスに慄く。突然、鬼束ちひろが不穏な空気を放ち始め日本中がざわざわする。彼氏には二回もフラれて「こいのうた」で枕を濡らす。
「THE LIVING DEAD」でBUMP OF CHICKENと運命の出会い。福岡のライブハウス「Drum LOGOS」でご対面。自分と2歳しか違わない男の子がステージ上で歌う姿にショックを受ける。めっちゃ細い。圧倒的初恋。
(全女子に捧げたい片思いソング)
◎23〜30歳
ELLEGARDENにどハマりし、周辺のバンドにも興味持つ。働き始めてお金を持ったことでライブやフェスに一番通っていた時期。フェスは毎年、福岡のサンセットとナンバーショット、長崎のスカイジャンボリー。雨上がりの野外ステージでミスチルの「雨のち晴れ」生演奏を聴いて号泣する。
ここあたりから「邦楽ロック」にやや焦点が絞り始めるものの、やはり雑食。
ラップはほとんど聴かないにも関わらず、KICK THE CAN CREW解散後のKREVAを追いかけ出す。同郷のYUIになりたい。エルレが解散してやさぐれ始める。人生で一番荒れた20代後半。
(解散後の一発目がこれって苦しいの極み)
◎30歳〜現在
エルレが「Funny Bunny」をカバーしたきっかけで知ったthe Pillowsに浸かりつつ渡米する。邦楽シーンからは離れて細美バンドとバンプしか後を追わない状況。高校時代に植え付けられた洋楽コンプレックスを解消し始める。ここでも上澄みを掬い、Bruno MarsやColdplay、遡ってGREEN DAYやWeezerあたりをかじりだす。Vanessa Carlton「A thousand miles」を300回ぐらいリピート。
「アイネクライネ 」で米津玄師に頭を殴られ、邦楽シーンへの意識を取り戻す。ライブはPerfumeのLA公演、イエモンの復活公演に参戦。
2015〜2017年は初めての妊娠出産でヘロヘロになり無音期。時代はサブスクへ突入。Apple Musicユーザー。投稿コンテストをきっかけに邦楽ロック沼へ再度足を踏み入れ、今に至る。
(エルレの次世代が出てきた衝撃)
履歴書に追加したいNEXTアーティストたち
基本的に雑食だったけど、バンプやエルレからだんだん好みが確立してきたっぽい。「透明っぽい歌声」「疾走感あるメロディ」「強めのギターリフ」「Cメロ以降の捻り」が大変に好物。
最後に、これから履歴書に書き足される最近の推しアーティストたちを語って締めようと思う。
・Sano ibuki
若干23歳。とんでもない人が出てきた感。ファーストアルバム『STORY TELLER』が、え?これ一枚目???なる。名称通り、新たなストーリーテラーの爆誕。
アーティストを他の誰かに似てる、と表現するのは嫌いなのだけど、正直、最初は「決戦前夜」のサビ聴いて「あれ?あの圧倒的初恋の方に似…」と思った。しかしながら、今はもう「Sano ibuki」としか聴けない。セカンドアルバム『SYMBOL』もすごい。今後が楽しみ過ぎる存在。
・秋山黄色
彼も24歳。いわゆる「米津玄師以降」と呼ばれる世代で、もう何なん…めっちゃ怖い、才能。「夕暮れに映して」でかっこいいな〜と思っていたら、その後発売されたアルバム『From DROPOUT』からの「モノローグ」でどぼん。オープニングの抑揚!フィナーレの転調!天才か!!!
歌詞にも新時代の感覚があって好き。これまで散々J-POPで学んできた価値観をぶっ壊してくる。からの新曲「サーチライト」。まったく手を緩めない。
私がもはや語るまでもない藤井風はもう存在が神様や天使みたいになっているし、……新世代の勢い、すごい、面白い。
かつてバンプの影響を受たRADWIMPS や米津玄師が出てきたように、今は米津玄師の影響を受けた新しいアーティストが続々と出てきている。好きだな、と思うバンドはエルレを聴いて育った人たちが多い。こうやって音楽は繋がっていくんだ。
でも、若い人たちだけじゃない。年齢を重ねてこそ、響く歌がある。20代が言うアイラブユーと、50代が言うアイラブユーは重みが違う。どっちがいいとかじゃないけど、ただ響きが違っていて、それぞれに美しい。
小さなスタジオから繰り広げられる無限の宇宙。音楽にはそんなパワーがあると叫んでるみたいだ。
先輩たちが「カッコよさ」を更新してくるから、一緒に歳を取るのも楽しいもんだよねって思う。
たまには躓くこともあるんだろうけどさ、もらったものは変わらないし、これからも応援してる。
人生も音楽も「あの頃はよかった」じゃつまらない。だから、古い音楽も、新しい音楽も、たくさん聴き続けたいな。そして彼らに力をもらいながら、がんばって生きよう。
ささいな笹さん、素敵なハッシュタグをありがとうございました☺︎