2012年の年末。私の体は急に動かなくなった。ちょっと前まで動いていたのに、体に重りがついたようになった。この日から地獄のうつ状態が始まる。

まず、当たり前のことができなくなった。ずっとベッドに寝てるだけの生活が始まった。お風呂にも入れなくなった。顔も洗えないし、歯磨きも出来なくなった。体が思うように動かなくて、這いつくばってトイレに行ったこともあった。動作がすごくゆっくりになった。頭も回らないし、笑うことも出来ない。ネガティブな感情が消えなくて、頭の中は死にたいだらけ。辛い、苦しい、もう嫌だ。過去に戻りたい…。うつがひどい時はずっとそれを繰り返してた。

周りと比べてはよく泣いていた。あの人は仕事ができている。あの子は結婚した。楽しそうに遊んで笑っている。普通の日常生活が送れている。FBを見ると色んな人の情報が入ってきて、辛くなるからアカウントを消して見れないようにした。

服や美容が好きで興味があったけど、うつになったら関心もなくなった。ずっとジャージで化粧もしなかった。うつがひどい時は顔すら洗えないから肌荒れもした。その姿を鏡で見るとショックが大きかった。さらに髪はプリン状態で、ボサボサ。身だしなみなんて面倒臭くて整えられない。躁の時に過食がひどくて11kg激太りしたから、太った姿を見るのも本当に嫌だった。履けてたスキニーデニムも入らないし、ロングブーツはチャックが上がらなくなった。躁状態にならなけば変わることなく、普通に日常生活が送れていたかもしれないと思うと悲しかった。躁状態でたくさんのものを失った。大切だった友達や同期も失って人間関係は崩壊し、信頼はなくなった。体が動かないから仕事もできない。散財がひどかったから貯金もなくなり、借金。何でこうなったの?どうしてこんな思いをしないといけないの?そればっかり毎日思ってた。

何も出来なくなって親には本当に迷惑をかけた。ごはんも作ってくれて、病院にも連れて行ってくれた。大人1人の面倒を見てくれた。お金の面でも負担をかけてしまい、すごく申し訳なかった。

色んな薬を試した。何度も何度も変えた。副作用もあるからそれも辛かった。便秘になって、肝機能の数値も上がったり、手が震えたり、目まいがしたり、体がムズムズしたりもした。精神疾患の薬は副作用があるし、体に合わないものもある。自分に合った薬を見つけるのはとても大変だ。今も便秘の副作用はあって、辛くて消化器内科に通ってる。手の震えもたまに指摘されたりする。一応震え止めの薬も飲んでいるけど、そんなに緊張してるの?と聞かれることもある。

昔、うつで引きこもった時は半年で良くなった。でも、この時は1年、2年経ってもなかなか良くならなかった。ひどいうつから抜けて、死にたいと思うことは減ったけど、お風呂も毎日は入れなかったし、体力も戻った感じもなく疲れやすかった。過眠もあって寝てばかり。私はいつになったら良くなるんだろう?どうして良くならないんだろうと、とてももどかしかった。

薬を飲み続けて、少しずつ体が動けるようになっても、頭の中はもやもやしていた。喋るのもゆっくりで、心の中はどんよりで、笑うこともできなかった。少しでも早く良くなるならと何でも試した。軽い運動をすると薬の効き目が良くなるって言われたので散歩してみたり、夜は早く寝て朝も早めに起きて規則正しい生活をしたり、太陽の光も浴びるといいよっていうのも聞いたからやってみた。効果があったかはよく分からなかった。

3年過ぎた位には家の家事をしたり、走ったり、You Tubeのトレーニング動画などを見て運動もできるようになってきた。前まではちょっと動くとすぐぐったりしていたけど、徐々に体力が戻ってきた。外出もできるようになって化粧もするようになった。嫌だった美容院にも行けるようになった。でも、会話をするのはまだちょっと難しかった。笑うことも出来なかった。体は動くようになってきたけど、頭がずっともやもやしてて気分が晴れない感じがしばらく続いていた。

ある通院の日、お医者さんに今の体調のことを相談をした。そしたら、就労支援B型というサービスを教えてもらった。就労継続支援B型とは、障害のある人が一般企業への就職が不安、あるいは困難な場合に、雇用契約を結ばないで軽作業などの就労訓練を行うことが可能な福祉サービスだった。障害や体調にあわせて自分のペースで働くことができる。私は次のステップとして人とコミニュケーションを取り、働く練習を始めることにした。

ここに来るまで4年かかった。引きこもり始めたのが26才。やっと次のステップに行くことにはなったけど、30才になっていた…。本当に長くて長くてきつかった。大事な時間がなくなって、病気で20代が終わってしまった。体調もまだ完璧じゃないし、また昔のようにやり直せるのかも不安だった。仕事ができるようになれるのだろうか?人と上手く会話できるだろうか?でも、少しずつ進むしかない。まずはできることからやってみることにした。

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