パチパチくんがやって来た
日本の皆さまはいかがお過ごしでしょうか?
聞くところによると今年は残暑が厳しいとか、平年よりも台風が多いとか。
こちらは朝晩かなり涼しくなりました。いつも通りなら10月くらいまでは暑さが続くだろうと悠長に構えていたので衣替えが間に合いません。
フランス北部に住んでいる人たちはもうすっかり秋の装いで、朝早くに出かける人などは厚手のジャケットやコートを着ているそうです。
それに比べると南フランスはまだ半袖でも大丈夫。冬物に手を出すほどでもないくらい。
北極からわざわざ下りて来た極寒低気圧も南フランスの端っこまでを冷え冷えにすることは出来なかったみたいです。
それでも数日に一回はお天気が崩れる日があって、雨が降るたびに気温がぐんぐんと下がっていきます。
先日の嵐の翌朝、スッキリと晴れていたのでベッドカバーを取り替えようと窓を開け放ち、綿の布団カバーをめくり外したところ、普段は感じない抵抗感?を指先に感じました。ん?
早く洗濯機を回したい思いが強く、そのまま一気に引っぺがすと、パチパチパチッと激しい摩擦が起きてビックリ。布団とカバーがピッタリしっかりと静電気でくっついていたのです。
無理やり剥がした布団カバーは、今度は私が夏の寝巻きにしているペラペラのTシャツに引っ付こうとパチパチ音を鳴らしながら迫ってくる。うわぁ〜。やめてくれ〜。
カラダをくねらせてカバーとの距離を取ろうともがいたちょうどその時、窓からブワッと吹き込んだ冷えた風に助けられ、間一髪でパチパチくんのひっつき虫攻撃から解放されました。
無事に洗濯機を回すことが出来たので、次は身支度を整えようと洗面台へ行き、束ねていた髪を解こうと黒ゴムを引っ張ったその時、またパチパチパチッと音が聞こえてきた。
引っ張り外したゴムから解き放たれた髪は重力に逆らい、空中でゆらゆらと揺れている。かと思ったら、そのうち数本がほっぺにまとわりついてきた。
おおおぉ!メデューサ!!
束ね直そうと顔周りに浮遊する髪に手を触れるとまたパチパチッと音がする。
ほんの数日前まで夏気分でいたのに、突然のパチパチくんの登場で冬を感じずにはいられなくなってしまいました。オイ、パチパチくん、君、やって来るのがちょいと早過ぎやしないか?
そう声をかけてもパチパチくんは聞く耳を持たず、私の細い髪にまとわりついて好き放題パチパチやっている。
もうっ。
こうなったら髪を濡らして乾かし直すしかない。乾かす前にオイルを塗って、再度パチパチくんが登場するのを阻止するのだ。
面倒だなぁ、オイッ。
エレベーターのボタンとか、ウールのセーターを着た人とか、指が触れる前に必ずパチパチくんが登場していたのを思い出した。
そんな季節がやって来たのだねぇ。